米スーパー・マジシャンのデヴィッド・カッパーフィールド裁判で無念のタネあかし(画像は『NBC News 2018年4月24日付「David Copperfield forced to reveal secret behind illusion in Las Vegas courtroom」』のスクリーンショット)

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世界の人々が認める元祖スーパー・マジシャンで、孤高のイリュージョニストと呼ばれているデヴィッド・カッパーフィールド。『Forbes』誌に“史上もっとも商業的に成功したマジシャン”として認められ、2度も「マジシャン・オブ・ザ・イヤー」に輝いた人物だが、その彼が今は気難しい顔で裁判所に出廷する“被告人”となっている。彼のマジックショーは会場の客をどんどん参加させることで有名だが、それがあだとなり、イギリス人男性に重傷を負わせて訴えられていたのだ。今月中旬から、ついにその裁判がスタートしていた。

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裁判を起こしたのは、イギリスでシェフをしていたギャビン・コックスさん(58)。2013年11月12日、ラスベガスのホテル「MGMグランドホテル&カジノ/ハリウッドシアター」でロングラン開催されていたデヴィッド・カッパーフィールド(現在61歳)のマジックショーを堪能していた。ところがハイライトとなる「Lucky #13」というプログラムに参加したところで重傷を負い、救急搬送のうえ治療を受けたものの重い後遺症が残ってしまった。

そのプログラムは、客席に向かって投げ放たれた13個のボールを受け取った13名がステージに上がるとカーテンが閉じ、開けると誰もおらず客席の後方から現れるという人気のイリュージョンであった。門外不出のトリックであっただろうが、訴えられてしまった以上タネを明かさないわけにはいかない。「あくまでも偶発的な事故であり、トリックに落ち度はない」という考えからタネ明かしはしないと拒んできたデヴィッドおよびエグゼクティブプロデューサーのクリス・ケナー氏であったが、判事はその陳情を却下した。

デヴィッドは非常に苦々しい顔で静かに語り始め、法廷のすべての人が固唾をのんでそれに聞き入った。しかしなんのことはない、カーテンをかけられた直後に13名は観客からは見えない通路に誘導され、ホテルのキッチンなどを通って客席後方の定められた位置まで“急いで”移動するとのこと。イリュージョンの仕掛けは意外にもシンプルなものであった。ただしその通路は暗く、ギャヴィンさんは転倒して頭部を強打し首と肩の手術を余儀なくされ、今なお脳と身体の後遺症に苦しんでいるという。

ギャヴィンさんを弁護するベネディクト・モレリ氏は、これまで医療費として約40万ドルがかかっていること、通路が暗くてところどころ改修工事すら行われていたのに説明すらなかったことを挙げ、主催者側の危機管理の甘さに対する過失責任を問いたいとしている。また別の被告であるMGMグランドにおいては、弁護士が「ショーの責任者であるデヴィッドは10分前にその通路を歩いて確認しており、それに関して危険事項の報告はなされなかったためホテル側に責任はない」と主張した。

原告の勝訴となれば、1ミリオンドルを軽く超す損害賠償額が支払われるとみられているこの訴訟。デヴィッドはすでにビリオネアであり、そう痛くはないであろう。しっかりと償いをして、これまで以上に素晴らしいマジックショーを展開していくことが大切ではないだろうか。なお私生活においては、クラウディア・シファーとも交際していたようにモデル好きなデヴィッドは、交際中であった20代のフランス人モデル、クロエ・ゴセリンさんが赤ちゃんを出産していたことを54歳の時に発表。彼女が28歳の時に婚約した。

画像は『NBC News 2018年4月24日付「David Copperfield forced to reveal secret behind illusion in Las Vegas courtroom」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)