iPhoneにちょい足しで本格一眼カメラに変身『DxO One』に惚れた
最近は、写真を撮るといっても、もっぱらiPhone Xの筆者。仕事で使っているキヤノンのEOS 8000Dも、たまにプライベートで使っているけど、持ち運ぶのが億劫で旅行とかイベント時ぐらいでしか利用していません。iPhone Xで撮影してもかなりいい画質なので、子どもたちと公園で遊んだり電車でブラブラしたりしたときは、サッと出してすぐ撮影できるのでこれでも十分なんです。でも、デジタル一眼で撮影した写真と比較すると、やはりその差は歴然。そこで今回、単体でも撮影でき、iPhoneに差して利用すれば本格的な撮影が可能な『DxO One』をお借りできたので、子供たちと出かけたとき、デジタル一眼を使わずに過ごしてみました。


▲『DxO One』のパッケージと本体。

『DxO One』は、フランスに本社のあるDxOという会社の製品で、ご存じの方もいると思いますが、海外では2年ほど前から発売されており、日本ではこれまで未発売です。しかし、そのわりにはしっかり日本語サイトが作られていて、専用のアプリも日本語対応されており、なぜ日本で未だ未発売なのか意味がわかりません。話によると、どうも日本でどう受け止められるのか反応を見たいとのことですが、日本でなかなか手に入らない製品に対して、そんなに多くの反応は得られないですよね。一応、日本で入手するには、フランスあたりのAmazonで購入したり、並行輸入品が日本のAmazonなどで6万円ほどで販売されています。

そんな製品ではありますが、今回紹介するのは、モノしてはなかなかいい製品だったからです。昨年10月にはアプリのバージョンも3.0となり、タイムラプス撮影やFacebook Liveにも対応。現在はiPhone用のみですが、Android用も発売されるようです。ホント、日本でも早く正式に販売してほしいものです。

本体のサイズは67.5×48.85×26.25 mm、重さは108gと非常にコンパクト。1インチのセンサーを搭載し解像度は20.2Mピクセル。レンズはF値1.8で32mmの固定焦点。iPhoneのLightning端子へ直接接続できるよう、レンズカバーを開けると電源がオンになるとともにLightning端子が飛び出す仕組みになっています(飛び出さないようにすることも可能)。iPhoneに『DxO One 3.0』アプリをインストールしていれば、差すだけで自動起動しすぐに撮影モードに切り替わります。Lightning端子なので、レンズを自分側にして差せば、自撮りも可能です。また、上下45度までの角度がつけられるので、iPhoneを見やすい角度にして撮影もできます。


▲こんな感じで、基本的にはLightning端子に差して利用する。


▲サイドにあるLightning端子は、引っ込められ、レンズカバーを下までいっぱいに下ろすと飛び出す。

DxO One本体には、モノクロ液晶が搭載されていて、単体でも撮影できるようになっています。画面はタッチパネルになっていて、スワイプすることでモード切り替えが可能。撮影はシャッターを半押しで合焦、深押しで撮影します。モノクロの画面でも意外と被写体の形を認識でき、手軽に撮影したいときはiPhoneに差さずに利用するのもありです。


▲本体上部にシャッター。軽く押すと合焦、深く押して撮影。

iPhoneに接続していても、本体のシャッターを使って撮影できますし、アプリのカメラアイコンをタップすれば、合焦後に撮影してくれます。ピントを合わせたいところをタッチすると、そのポイントで合焦し、あとはシャッターを押す(カメラアイコンをタップ)だけ。合焦するまでは多少時間がかかるため、デジタル一眼のようにサクサク撮影とまではいきませんが、前ボケ、後ボケも自由自在。iPhoneの通常の撮影では、ボケ味の効いた撮影はできないので、デジタル一眼並の撮影ができる点が本製品の最大のメリットです。


▲マニュアルモードで撮影すると、焦点距離を自分で決められる。拡大表示してくれるので、ピントが合っているかもわかりやすい。


▲オートで手前の水滴にピントを合わせるはなかなか難しい。マニュアルならこんなこともできる。

また、RAWでの撮影も可能なため、撮影後に色味や明るさなどを調整して現像することで、より繊細で鮮やかな色合の写真に仕上げることもできます。アドビの『Lightroom』でもちゃんとプロファイルが用意されており、レンズ歪みを補正して写真を仕上げられました。


▲『Lightroom』でRAWデータを読み込んだところ。プロファイルも用意されているので、問題なく現像できる。



▲撮影時とRAWをLightroomで現像補正した写真。露出アンダーでもきれいに仕上げられるのがRAWのいいところ。

撮影モードは各種シーンモードのほか、デジタル一眼と同様、露出優先やシャッタースピート優先、マニュアルなどが用意されており、本格的な撮影ができます。今回は子供を中心に撮影してみましたが、子供の一瞬の動きを捉えようとしたとき、露出が合わない場合がよくあります。そんなときは、RAWで撮影していると、あとで最適な露出に調整できるため、非常にありがたいです。


▲RAWにするとRAW+JPEGで保存される。iPhoneに同時保存の設定にすると、iPhoneにはJPEGのみ保存される。4枚の RAW 画像をもとに1枚の低ノイズ画像を合成する SuperRAW も選択できる。


▲各種撮影モードが用意されている。


▲露出補正やISOなどは、適宜変更できる。カメラのようにパパっと変更はできないが、ISOは最大12800まで設定できる。

本体にはmicroSDカードが差せるようになっており、撮影したデータはすべてこのカードへ保存されます。また、設定でiPhone本体へも同時に保存でき、しかもiPhoneのアルバムから参照できます。撮影したデータがアプリ限定じゃないのはありがたいですね。もちろん、そのままSNSへシェアすることも簡単にできます。SNS用にキレイな写真を取ろうとデジタル一眼を使う場合、シェアするまでなかなか面倒。これならきれいな写真をすぐにシェアできます。


▲液晶下のフタを開けると、MicroSDカードスロットとmicroUSB端子がある。充電はこの端子を利用。

また、Wi-Fiを内蔵していて、ワイヤレスでiPhoneの映像を見ながらから撮影ができます。本体には三脚用のネジ穴は用意されていないのですが、オプションのアクセサリーを購入すると、三脚を利用して固定が可能となり、離れた場所からシャッターを切ったり、ビデオ撮影をしたりできます。


▲Wi-Fi接続で、iPhoneから外して撮影が可能。「Wi-Fiネットワーク経由で接続」は、iPhoneが2.4GHz帯のWi-Fiに接続していると利用可能で、自動的にネットへ接続する。「直接接続」は準備完了後、設定のWi-FiでDxOのSSIDに接続する。本体を外したあと、もう一度接続するとWi-Fi設定が解除される。

Wi-Fi接続する際は、アプリの設定メニューからネットワークに接続するか、直接接続するか選択。直接の場合は、iPhoneのWi-Fi設定で接続後、本体をiPhoneから切り離すとワイヤレスで操作できます。ラグも少ないため、シャッターを切るタイミングも違和感なく行えました。

アプリには、バージョン3.0よりFacebook Liveで配信可能なモードとタイムラプスモードが用意されています。Facebook Liveでは、本製品だけでなくiPhone本体の前面、背面のカメラも利用でき、リアルタイムに切り替えて配信ができます。さきほどのWi-Fi接続を利用すれば、本製品を切り離して利用できるので、3つの視点の映像を切り替えて中継できることになります。


▲Facebookのアクセス許可をすると、Live配信が可能に。DxO OneとiPhoneの前面、背面カメラの3つの映像を切り替えて配信できる。DxOはWi-Fi接続にすれば離して利用できるので、撮影位置を固定したりほかの人が持ちながら撮影なども可能だ。


▲ビデオ撮影時の品質は、3つの中から選択できる。

タイムラプスは、ビデオとして保存だけでなくJPEGやRAWでも撮影できるため、ビデオだとフルHD画質のところ、JPEGであとからビデオ化すれば、4K画質でのタイムラプス映像が楽しめます。ただ、容量はそれなりに食うので同梱されている8GBのメモリーカードではちょっとキツイでしょう。また、バッテリーはあまり持たないため、別途アクセサリーにあるバッテリーパックを利用したほうがよさそうです。


▲タイムラプスの設定。動画だけでなく、JPEGやRAWでも撮影可能。撮影間隔も1秒から23時間59分59秒まで、撮影時間は99日と23時間59分まで可能。

最後に、撮影した写真をいくつか掲載してみました。DxO OneとiPhone Xで同じものを撮影した違いも掲載します。


▲ふつうに撮影しても焦点が合っているところ以外がボケるのがいい。


▲ピントを真ん中にしたり、手前にしたりしての撮影もラク。


▲毛並みの解像感はなかなか。

撮影時に気をつけたいのが持ち方。本製品は、iPhoneを横にして右側に接続する仕様となっていて、両手で持つようになっています。このとき、本製品のレンズに指かかからない持ちかたをすることが重要です。筆者はついつい、レンズにかかる持ち方をしてしまい、何度も指が写ってしまいました。本製品を親指と人差指で上下に挟み、シャッターボタンを使う場合は人差し指、もしくは中指で押すといいでしょう。


▲ついつい、上の写真のような持ち方になって、指が写っているという自体に。片手で撮影はちょっと厳しい。

また、アプリにはズームも用意されていますが、最大3倍のデジタルズームとなり、RAWデータ上はトリミングされていないデータになっていました。JPEG画像は拡大された写真になっていて、ちょっと解像感の甘い画像になりますが、ファインモードだと5540×3688ドットの画像なので、縮小すれば十分くっきりした写真になります。


▲ピンチイン、アウトで拡大縮小できるが、デジタルズーム3倍まで。

さまざまなアクセサリーが用意されていて、いろんなシーンで活用できるこのカメラ。RAW撮影が可能で解像感もしっかりあり、iPhoneへも保存できるので、かなり利用価値が高い製品でしょう。強いていうならば、本体の厚みがあるので、光学ズームが搭載されているとなおよかったですね。そうすれば、デジタル一眼を使わずとも、これだけで事足りるでしょう。筆者のような子供のいる家庭では、出かけるとなるといろいろと荷物も多いので、ポン付けできる小型アイテムは、とても重宝すると思います。なんとか日本でも販売してほしいところです。