首都高の「いたくま」はなぜ混むのか 板橋JCT〜熊野町JCT間、「渋滞名所」まもなく返上?
首都高5号池袋線とC2中央環状線が重複する板橋JCT〜熊野町JCT間は、首都高のなかでも渋滞が多いポイントですが、まもなく汚名返上となるかもしれません。
渋滞するにはワケがある
首都高にはいくつかの主要な渋滞ポイントが存在します。そのひとつが、5号池袋線とC2中央環状線が重複する板橋JCT〜熊野町JCT間、通称「いたくま」です。
C2中央環状線内回り、板橋JCTの手前。板橋JCTの先に位置する熊野町JCTの分岐もセットで案内板に表示される(2017年3月、乗りものニュース編集部撮影)。
首都高速道路によると、「いたくま」区間を先頭に、これに合流する5号線上りは平日6時から19時くらいまで、5号線下りとC2外回りは同じく11時から22時まで、それぞれ流れが悪くなるといいます。なぜ混雑するのか、同社に聞きました。
――板橋JCT〜熊野町JCT間はなぜ混雑するのでしょうか?
5号線とC2が短いあいだに合流・分流するためで、上り、下りとも同じ要因です。交通流が交錯し、現在の一方向3車線では時間帯により渋滞が発生しています。
板橋JCT〜熊野町JCT間は5号池袋線とC2中央環状線の重複区間となっている(画像:首都高速道路)。
――昔から混雑する区間だったのでしょうか?
5号線上りは以前から混雑していましたが、C2の開通により交通量が増加しており、このことも混雑要因のひとつになっています。
4車線化で渋滞緩和なるか?
――渋滞緩和のためにどのような対策をしているのでしょうか?
抜本的な対策として、板橋JCT〜熊野町JCT間約520mを上下線とも3車線から4車線に拡幅する改良工事を実施中です。この区間は、上り線が上層、下り線が下層の高架2層構造となっていますが、両層とも道路の両側をそれぞれ約1.7m拡幅し、車線を1本ずつ増やします。これに際し、既存の上層を支える柱が支障となるため、ひとまわり大きな新たな橋脚で現在の橋脚を挟み、この柱を撤去する「サンドイッチ工法」を採用しています。
このほかにも、たとえば板橋JCT付近からC2内回り江北JCT方向へと延びる渋滞を緩和するため、2016年2月から、板橋JCTのC2内回り合流部を1車線運用から2車線運用に変更するなど、部分的な改良も行ってきました。
――4車線化はいつごろ完成し、どのような変化が見込まれるのでしょうか?
工事は、2017年7月に西側の拡幅が完了し、現在東側の拡幅を実施中で、2017年度内に4車線化が完了する予定です。板橋JCTや熊野町JCTを先頭とする渋滞が緩和し、C2の機能が向上します。
4車線化による整備効果(画像:首都高速道路)。
4車線化事業における「サンドイッチ工法」の概要(画像:首都高速道路)。
板橋JCT〜熊野町JCT間上り線(2017年3月、乗りものニュース編集部撮影)。
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「いたくま」に接続するC2中央環状線は、2002(平成14)年10月にまず板橋JCT〜江北JCT間が開通しました。首都高速道路によると、これにより「いたくま」の1日平均交通量は、約9万7000台(2002年10月の平日平均)から11万台(2003年10月)に増えています。そののちC2が延伸し、4号新宿線や3号渋谷線と接続するのにともない「いたくま」も交通量が増え、2015(平成15)年3月にC2が全通すると、その1日平均交通量は約15万7000台(同年10月)にまで増加しています。
首都高速道路によると、「いたくま」が特に混雑する時間帯は、上りが朝から昼にかけて、下りは夕方だそうです。これら混雑時間帯を避けた利用を呼び掛けているといいます。
【地図】すでに対策は始まっている 「いたくま」とC2内回り
2016年に実施された板橋JCTのC2内回り合流部における車線運用変更の概要(画像:首都高速道路)。