演出・鈴木砂羽から「人道にもとる数々の行為」 舞台女優側の訴えに劇団「事実とは違います」
女優の鈴木砂羽さん(44)が初演出を手掛ける舞台「結婚の条件」で、主要キャストを務める予定だった女優の鳳恵弥(おおとり・えみ)さん(36)と牧野美千子さん(52)が、初演直前に急きょ舞台を降板することになった。
2人の所属事務所が2017年9月11日深夜、公式フェイスブック上で発表した。事務所側は降板の理由について、演出の鈴木さんによる「人道にもとる数々の行為」が原因だと説明している。一方、劇団側は「事実とは違います」と事務所の主張を真っ向から否定。双方の認識が大きく食い違う事態となっている。
土下座を強要、と主張
13日から18日にかけて上演される「結婚の条件」は、脚本家の江頭美智留氏が主催する「劇団クロックガールズ」による舞台。ベテラン女優の鈴木さんが主演と演出の両方を手掛けることで、注目を集めていた。
だが、今回の舞台でメインキャラクターを演じる予定だった鳳さんと牧野さんが、初演の2日前に急きょ舞台を降板することが発表された。2人の所属事務所「しぃぼるとぷろだくしょん」(東京・新宿区)が11日深夜にフェイスブックに掲載した文書では、
「演出鈴木砂羽氏より二人の受けました人道にもとる数々の行為に対しまして、弊社と主催側で検討をしました結果、残念ながらこれ以上の稽古及び舞台への出演をお受けすることは出来ないと判断し出演をお断りする運びとなりました」
と降板の理由を説明している。
いったい、何があったのか。舞台を降板した鳳さんは9月12日午前に更新したブログで、トラブルの詳細について以下のように説明した。
まず、鈴木さんは稽古中に、劇団主宰者で脚本家の江頭氏へ謝罪を強要。その上で、鳳さんに2度にわたって土下座を強要した。
こうしたトラブルを重く見た2人の事務所側は、劇団側と降板も視野に入れて話し合いを始めた。だが、その結論が出る前に、鈴木さんは劇団の了承を得ないまま、別のキャストに2人の「代役」を打診していたという。
さらに鳳さんのブログによれば、こうした鈴木さんの行動には、劇団主宰者の江頭氏も抗議した。だが、鈴木さんは「(代役のキャスト起用などを)決める権利はあんたにはない」と述べ、取り合わなかったという。
その上で、鳳さんは鈴木さんの言動について「余りにも常軌を逸していて、言葉がありませんでした」と振り返る。さらにブログの終わりでも、
「自分が愛する舞台を、ここまで蔑み、悪戯に掻き回しておもちゃにする姿に、何故私は何も言えなかったのだろう(略)芸能を愛している仲間たち全てへの許されざる冒涜であった」
などと怒りを爆発させている。
「まったく事実ではありません」
2人が所属する事務所の担当者は12日のJ-CASTニュースの取材に対し、鳳さんのブログに書かれた内容について「すべて事実だと認識している」とした上で、
「鈴木さんが2人に土下座をさせたことは紛れもない事実です。(鈴木さん側が)どのように主張するかは分かりませんが、言い訳はできないと思います」
と話した。
一方、今回のトラブルについて、劇団を主宰する江頭氏は12日夕に報道各社向けにファクスでコメントを発表。鳳さんらが「(鈴木さんに)土下座を強要された」などと訴えていることについて、「事実とは違います」と全否定した。
江頭氏はコメントで、自らのスケジュール確認のミスにより稽古場で謝罪したことはあったが、決して鈴木さんから強要されたわけではないと説明。鳳さんが稽古場の床に座ったまま頭を下げたことは事実だが、
「その場にいた私が断言できるのは、鈴木さんから土下座をするようにとは決して言っておりません」
と真っ向から否定した。
また、江頭氏のマネージメント担当者は12日夜のJ-CASTニュースの取材に対し、鈴木さんが独断で代役を立てていたことや、それについて江頭氏が抗議したことについても、
「まったく事実ではありません」
と否定。その上で、鳳さん側の主張を知った江頭氏の様子については「ただただ困惑しているようです」としていた。
なお、舞台は降板した2人に代役を立てて予定通り公演を行うという。