By Al Ibrahim

連続TV番組などを一気に視聴することを「ビンジ・ウォッチング」と呼ぶのですが、Netflixやhuluなどのオンラインストリーミング配信サービスの普及により、この一気見が問題視されるようになってきました。そして、新しい研究結果によると、ビンジ・ウォッチングは番組内容をつまらなく感じさせる効果があるとのことです。

The impact of binge watching on memory and perceived comprehension | Horvath | First Monday

http://firstmonday.org/ojs/index.php/fm/article/view/7729/6532

Binge Watching TV Makes It Less Enjoyable, Study Says - Motherboard

https://motherboard.vice.com/en_us/article/evv3pp/binge-watching-tv-makes-it-less-enjoyable-study-says

2014年のNetflixの調査によると、ユーザーの約61%が配信コンテンツを定期的に視聴しており、そのほとんどが1度に2〜6話のコンテンツを視聴すると回答しています。これは何十話も続くTV番組シリーズなどは、毎週1話ずつ視聴するというスタイルよりも、複数話を一気にまとめて見るビンジ・ウォッチングで視聴するという人が増えていることをよく示しています。しかし、メルボルン大学のJared Hovarth氏らによる研究によれば、ビンジ・ウォッチングは視聴者にとってTV番組をつまらなくするとのことです。

Hovarth氏らによる研究ではメルボルン大学の大学生と大学院生51人に対して自己報告調査を行いました。51人は17人ずつ3つのグループに分けられ、各グループは異なる頻度でTV番組を視聴します。ひとつのグループは1話1時間の番組を1週間に1話、もうひとつは1日1話、さらに3つ目のグループは1度でまとめて1シーズン分TV番組を視聴したそうです。なお、被験者に視聴してもらったのはBBCの冷戦時代のドラマ「The Game」で、視聴中、被験者は登場人物がたばこを吸ったり飲み物を注いだりする度にキーボードのスペースキーを押すように求められました。

海外ドラマ『THE GAME』|角川海外TVシリーズ



3つのグループがすべて1シーズン分のTV番組を視聴したあと、アンケートに回答してもらい被験者がどれくらい物語を理解しているかを測定しました。さらに、視聴を終えてから24時間、1週間、140日が経過したのちに、番組内容をどれくらい覚えているかを測定するアンケートも行われたそうです。なお、アンケートに書かれた質問の内容は、「エピソード4でArkadyの秘密のメールボックスに届いたものは?」といったような簡易なものでした。

調査の結果、視聴の仕方によって被験者がどのくらいTV番組の内容を覚えているのかは大きく変化したとのこと。例えば、番組を見終わった直後はビンジ・ウォッチングをした被験者(1シーズンまとめて視聴したグループ)が最も番組内容をよく記憶していましたが、140日後には最も内容を覚えていませんでした。一方、毎週1話視聴したグループは番組視聴後24時間が経過してから行われた記憶テストで最も成績が低かったそうですが、時間の経過と共に番組に関する記憶は最も失われなかったとのこと。



By oddharmonic

さらに、ビンジ・ウォッチングをしたグループは、他の2つのグループよりも番組を楽しんだ人の数が明らかに少なく、これは時間の経過でも変化することはなかったそうです。なお、時間の経過と共に最も番組を楽しめたと報告したのは毎日1話番組を視聴したグループでした。

しかし、この結果はビンジ・ウォッチングをしたグループが自宅の快適な空間ではなく実験室で6時間のTV番組を視聴したという事実にも関連していると思われます。また、どのような番組を視聴させるかにも大きな意味があると指摘されており、なぜなら「ビンジ・ウォッチングのために作られた番組は、シリーズ向けに作られた番組とは異なる構造をしているから」とのこと。

なお、研究グループはビンジ・ウォッチングの効果をよりよく理解するため、さまざまなTV視聴スタイルについて調査を進めるとしています。