ジャマール・クロフォード【写真:Getty Images】

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ジャマール・クロフォードがプロアマ混合リーグで息子のエリックとマッチアップ

 米バスケットボール界は新シーズンに向けて、各地で新人や若手を中心に戦うサマーリーグやプロアマ混合のトーナメントが行われ、日々激闘が繰り広げられている。シアトルを拠点とするリーグでは、NBA選手とその息子が相見えるセンセーショナルな対戦が実現。その模様を大会公式ツイッターが動画付きを紹介すると、「最もクールな瞬間だった」「馬鹿らしいほどに素晴らしい」と反響を呼んでいる。

 スポーツ選手が自分の子供と一緒にプレーする、あるいは敵味方に分かれて対戦するのは、一度は夢見ることと言ってもいいだろう。そんなストーリーの主役を演じたのが、世界最高峰リーグであるNBAで18年目を迎える大ベテランのジャマール・クロフォードだ。

 19日にロサンゼルス・クリッパーズからミネソタ・ティンバーウルブズへの移籍が決まった37歳は、その数日前に出身地であるワシントン州シアトルで自身がホストを務めるプロアマ混合リーグに参加していた。対戦相手には19歳の長男エリック(背番号3)が出場しており、夢のマッチアップが実現。父親の威厳を見せつけるかのように、ジャマールは自慢のテクニックを駆使して次々と大技を繰り出し、得点を積み重ねた。

 コート右側で1対1となった2人。ジャマールはゆっくりとドリブルで間合いを取りながら、アイコンタクトで味方の選手を呼び寄せ、壁代わりに使う。すると、一瞬エリックのマークが遅れた隙を見逃さず、3点ラインよりもはるか遠くからジャンプシュート。懸命にブロックに飛んだ息子を物ともせず、ボールはゴールへと吸い込まれていった。

「レッグスルー」や「ビハインド・ザ・バック」の複合技で息子を翻弄

 自分の股の間にボールを通す「レッグスルー」や、左右に揺さぶって相手を抜く「クロスオーバードリブル」をいとも簡単に成功させて勢いに乗ったジャマールは、コート左側で再びエリックと1対1になる。抜かせまいと激しくプレッシャーをかけてくる息子に対し、レッグスルーとボールを背中の後ろに回して方向転換する「ビハインド・ザ・バック」の複合技で翻弄して、あっさりと置き去りにした。

 さらに、後半にはマークに来たエリックを緩急で抜き去ると、ファウルを誘って3点プレーを完成。とどめは横への揺さぶり1つで守備を無効化し、トリッキーなノールックパスで味方の得点をアシストした。

 息子のエリックは、NCAA(全米大学体育協会)ディビジョン2に所属するベネディクトカレッジでプレーするれっきとしたバスケットボール選手。プロとアマチュアの違いこそあれど、37歳のジャマールがコート上の誰よりもシャープに動き、自身よりもはるかに若い選手たちを手玉に取る姿は実に痛快である。ジャマールはこの試合、19得点、24アシスト、8リバウンドという驚異的な活躍でチームを勝利に導いた。

 米バスケ誌「スラム」電子版は「ジャマール・クロフォードと19歳の息子エリックがプロアマゲームで顔を合わせる」と特集。バスケ動画サービスの「ボール・イズ・ライフ」も公式Youtubeチャンネルで、「ジャマール・クロフォード vs 息子エリック・クロフォード!! 君は父親をガードすることになるが、その父親はジャマール・クロフォードなんだ」と熱いメッセージ付きでその模様を配信した。

「『俺を超えてゆけ。だが、俺は明日のお前を打ち負かす』とでも言いたいようだ」

 これには、ファンも動画公開ととともにツイッターやYoutubeのコメント欄ですかさず反応した。

「『俺を超えてゆけ。だが、俺は明日のお前を打ち負かす』とでも言いたいようだ」

「ジャマール・クロフォードは不老不死に違いない」

「息子は父親をまるでガードできなかったことにとても動揺しているだろう」

「ジャマールの方が息子だったんだろう」

「これは馬鹿らしいほどに素晴らしい」

「これには驚きと困惑が同時に湧き立つな」

 そして、公式Youtubeチャンネルで動画を投稿した「ボール・イズ・ライフ」は、「正直言って、我々がこれまでカメラに収めてきたものの中で最もクールな瞬間だった。その場にいれたことを嬉しく思う!」と最大の賛辞を贈っている。

 息子のエリックにとっては、「完敗」という少しほろ苦さの残る思い出となったかもしれない。それでも、キレキレの37歳・ジャマールが新シーズンもNBAの舞台でとびきりのプレーを見せてくれるのは間違いないだろう。