置き去りにされたチワワ犬(画像は『Connor and Millie's Dog Rescue CMDR 2017年7月5日付Facebook「Yo Las Vegas!! Chewy here Arhoooo! Letting you know I'm healing up and I'm checking out all these fine offers for a home!!」』のスクリーンショット)

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「これ以上面倒が見られないから」とペットを捨ててしまう心無い飼い主はあとを絶たないが、このほど生後3か月のチワワ犬が空港のトイレに置き去りにされたというニュースが飛び込んできた。しかしこの背景には、飼い主がDV被害を受けておりやむなくペットを手放すという深刻な理由があったようだ。米『PEOPLE Pets』『KSNV』『WGHP Fox 8』など複数メディアが伝えた。

米ラスベガスにあるマッカラン国際空港内のトイレで、オスのチワワ犬が旅行者によって発見された。犬のそばには飼い主の手書きのメモがあり、このように綴られていた。

「やぁ、僕の名前はチューイーです。僕の飼い主はDV被害に遭っていて、僕を飛行機に乗せることができませんでした。彼女はどうしても僕を手放したくなかったんだけど、他に選択の余地はなかったんです。」

そして、飼い主自身の心情も添えられている。

「元ボーイフレンドが喧嘩中にチューイーを蹴ってしまい、頭にコブができました。チューイーは獣医に診せる必要があると思います。私はこの犬が本当に大好きです。どうかチューイーを愛し、大切にしてやってください。」

DV被害に遭っていたと見られるこの飼い主が、一刻も早く加害者から逃げなければならない状況であったのだろう。しかしペットを連れて行くことは叶わず、空港内のトイレに置き去りにするという苦渋の決断を下したようだ。

発見された後、チューイーはすぐにラスベガスにある犬のレスキューセンター「Connor & Millie’s Dog Rescue」に保護された。同センターのFacebookアカウントに7月2日、チューイーのことが投稿されると多くのユーザーから「引き取りたい」と申し出があった。施設スタッフは予想外の申し込みがあったことに感謝し、「みなさん、本当にチューイーのことを気にかけてくれてありがとう。ただ残念ながら、チューイーを引き取ってくれるのは一つの家庭のみです。でもみなさん、当施設にはチューイーのように多くの犬が新しい飼い主を待っています」と他の犬への引き取りも呼びかけた。

同アカウントには、元気な様子のチューイーが何度か投稿されている。施設スタッフのダーレーン・ブレアさんによると、この件がメディアなどで紹介された後も元の飼い主からは何の連絡もないそうだ。

「通常、ペットを捨てる人たちは置き手紙を残しません。ですがこのメモを見て普通の状況ではないと察することができます。飼い主の女性はチューイーを手放したくなかったが連れて行くことができなかったのでしょう。DV被害者が周りを信用することは難しいことかもしれません。でも助けてくれる人は必ずいます。もしペットと一緒に避難したくても何らかの都合でできない場合、恐れずに助けを求めることが大切なのです。」

過去10年で1000頭を超えるペットを救助・保護してきたラスベガスの施設「Noah’s Animal House」では、ペットだけでなくDV被害に遭った女性や子供たちも一緒に保護し、彼らが再び施設を出て自立できるまでペットの世話をしている。施設スポークスマンのロリー・ネルソンさんは、DVの果てに被害者がペットを置き去りにしてしまうケースは決して珍しくないと述べたうえで、「ペットは家族の一員と同じです。DV被害から逃れる時にはペットも一緒に連れて行くことはとても重要です」と述べている。

なおチューイーは数週間にわたる書類整理をスタッフが終えた後、新しい飼い主を見つけることになるという。置き去りにされたものの、今はとても元気にしているチューイーの姿を見た人々からは「チューイーを救ってくれてありがとう!」「なんとかして元の飼い主とまた一緒になれたらいいのに」「悲しいけど新しい飼い主と幸せになってほしい」といった声が寄せられている。

画像は『Connor and Millie's Dog Rescue CMDR 2017年7月5日付Facebook「Yo Las Vegas!! Chewy here Arhoooo! Letting you know I'm healing up and I'm checking out all these fine offers for a home!!」、2017年7月2日付Facebook「Please share in hopes that his mom sees this that she was brave to leave and that he will have a great life.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)