ガラクタ市で購入した指輪がまさかの価値に(画像は『The Guardian 2017年5月22日付「Diamond ring bought for £10 at car boot sale may fetch £350,000」(Photograph: Sotheby's/PA)』のスクリーンショット)

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「イミテーション」と思い込み普段身につけていたものが、予想もできないほど高価なものだとわかった時の驚きと喜びはいかばかりであろうか。このほど車のトランクに詰めて運んできたものを売る「カー・ブート・セール」で、1980年代に購入したダイヤの指輪がとんでもない高額だったことが判明した。その後指輪はオークションにかけられ、鑑定額の2倍近い値段で落札されたという。英『The Guardian』などが伝えている。

今から30年以上前、英ロンドン西部アイズルワースにあるウェスト・ミドルセックス病院が開いた日曜のがらくた市「カー・ブート・セール(Car Boot Sale)」でその指輪は売られていた。

そのダイヤの指輪を手にした人物(名前は本人の意思で明かされていない)は10ポンド(約1,400円)で購入し、大きくて見栄えがすることから買い物に行く時など日常的にその指輪をはめていたという。

がらくた市で購入した指輪だったことから、持ち主はイミテーションダイヤだと思い込んでいた。ところがある日、宝石店で「これはひょっとしたらとんでもない価値のものかも知れません」と言われ、ロンドンにある美術品オークションハウス「サザビーズ」に持ち込んだ。サザビーズ・ロンドン・ジュエリー部門代表のジェシカ・ウィンダムさんはこのように話している。

「指輪の持ち主は長年がらくた市に足を運んでいましたが、アンティークやダイヤモンドのコレクターではありません。このダイヤに巡り合ったのはまったくの偶然だったのです。こちらに持ち込まれた時、本物のダイヤかもしれないと思われたようですが、その価値までは考えが及ばなかったようです。鑑定した時に本物と判明しましたが、改めて米国宝石学会(GIA)に正式な鑑定を依頼しました。そこで正真正銘のホワイトダイヤ26.27カラットであることが確認されたのです。」

この大粒のダイヤはクッション型で、19世紀のものであるため現在のように輝きを最大限に引き出すようなカットの工夫がされていなかった。このダイヤがなぜがらくた市で売られることになったのかという経緯は不明だが、「まさかこれが本物のダイヤとは誰も思えなかったのでは」とウィンダムさんは述べている。

10ポンドで購入した指輪が本物だったということだけでなく、鑑定の結果ダイヤの価値は350,000ポンド(約4,970万円)ほどであることがわかり、持ち主は信じられないほど興奮したという。

「私たちも、こんな大きなダイヤを持ち込まれるとは思ってもいませんでした。人生を変えてしまうほどの価値があると言われれば、誰でも興奮してしまうでしょう」とウィンダムさんは語る。そして6月7日に行われた「サザビーズ」のオークションで、このダイヤの指輪はなんと656,750ポンド(約9,330万円)で競り落とされたのだ。

この指輪とあわせて、オークションのハイライトとなったのはマーガレット・サッチャー元英首相が公務の場で身につけていたカルティエのダイヤのブローチだったそうだ。このブローチはサッチャー氏がエリザベス女王に謁見し首相辞任を報告した際にもつけられていたことで、25,000ポンド(約355万円)〜35,000ポンド(約497万円)の落札価格が予想されていた。しかしそれを大きく上回る81,250ポンド(約1,154万円)で競り落とされ、バイヤーらの興味をそそった。

この2品の収益は、病や負傷した軍人の回復をサポートする慈善団体「Endeavour Fund」に寄付されるという。ウィンダムさんは「この2品のオークションは非常に競争率が高く、ハンマーを振り下ろす瞬間はとてもスリリングでした」と明かしている。

画像は『The Guardian 2017年5月22日付「Diamond ring bought for £10 at car boot sale may fetch £350,000」(Photograph: Sotheby's/PA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)