カナダ政府が、脱北者難民として受け入れるのは難しいとの立場を明らかにした。同国の上院人権委員会が「脱北者を受け入れるべき」とした勧告と相違することから、今後議論を呼びそうだ。米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

カナダ移民難民市民権省のジョハンヌ・ナド報道官は、VOAのメール取材に対して「カナダ政府は、脱北難民を積極的に受け入れよとする上院人権委員会の勧告案を認めがたい」と明らかにした。

カナダ難民受け入れには限界があり、彼らを受け入れると他に助けを必要としている人々を受け入れられなくなるというのがその理由だ。また、脱北者は韓国国籍を取得する方法があるとも述べている。

カナダ上院の人権委員会は今年7月に発表した報告書で、タイなど第3国に留まっている脱北者、特に女性と子どもなど最も弱い立場に置かれた人々がカナダに入国できるように許可するよう勧告した。

また、政府は移民難民保護法を改正し、難民規定に例外条項を作り、韓国経由でやってくる脱北者に対して難民資格を与えよとも勧告している。

カナダは、シリア難民への関心が非常に高い一方で、脱北者への関心は低いと言われている。

脱北者カナダへの難民申請は、2012年には720件に達したが、2012年の難民保護規定改正で、韓国経由でやって来る脱北者難民申請ができなくなり、2013年には150件、2014年には5件、2015年には0件となった。

一方、シリア人の難民申請は今年12月現在で6万1000件を超え、認められた数も4万3000件に達する。

上院のジム・マンソン議員とサルマ・アタウラージャン議員は前述の報告書で、「カナダは24万人のシリア難民を受け入れると自画自賛しているが、北朝鮮国内や国外の収容施設で苦しんでいる多くの人々のことを記憶すべきだ」「我々の関心から疎外されている人々がいる」と釘を差している。

また、バンクーバー選出のジェニー・クァン下院議員は報告書を受けて「脱北者は助けを求めている、カナダは門戸を拡大すべきだ」と述べている。