レンジャーズ・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

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地元紙が報じる、一方で今オフに契約延長に動くとの報道も…

 レンジャーズダルビッシュ有投手は来季限りで契約満了となり、フリーエージェント(FA)となる。球団は今オフにも契約延長に動くと報じられているが、地元メディアはこのまま日本人右腕が来季終了時にFAとなれば、少なくとも年俸総額2億ドル(約206億円)の大型契約を手にすると分析。一方で、レンジャーズは来季のチーム状況次第で、若手獲得を目的にダルビッシュをトレードに出す可能性があると地元紙「ダラス・オブザーバー」が報じている。

 今季95勝67敗を記録し、ア・リーグ西地区を制覇したレンジャーズだが、プレーオフの地区シリーズではブルージェイズに3連敗。悲願のワールドシリーズ初制覇の夢は絶たれた。

 来季のレンジャーズの懸案事項に、ダルビッシュとジョナサン・ルクロイ捕手の去就問題があると記事では指摘している。「2017年シーズン後、レンジャーズ最高のピッチャー、ダルビッシュ有と最高の野手2人のうちの1人、ジョナサン・ルクロイはフリーエージェントになる。現時点では、チームはいずれかのプレイヤーと再契約する余裕はないように見える」とレポート。ダルビッシュとルクロイのどちらとも契約を延長することはレンジャーズにとって困難だという。

 さらに、ダルビッシュが来オフにFAとなれば、大型契約を手にすることになると指摘。「ダルビッシュは少なくとも2億ドルをフリーエージェント市場で手にし、ルクロイも8000万ドル(約82億円)から1億ドル(約103億円)を手にする可能性がある」。ダルビッシュが契約満了でFAとなれば、2017年以降に手にする年俸の総額は200億円を下らないという。以前には、地元紙「ダラス・モーニング・ニュース」でレンジャーズ番を務めるエバン・グラント記者が、今オフにレンジャーズがダルビッシュと契約延長をまとめるためには、6年総額2億ドル程度の契約が必要になると指摘していた。

「もしも、レンジャーズが7月にプレーオフ争いから脱落していれば…」

 そして、今オフに契約延長とならなければ、チーム状況次第でレンジャーズは来季途中にダルビッシュ放出に動くという。

「もしも、レンジャーズが7月にプレーオフ争いから脱落していれば、彼らはダルビッシュ、ルクロイ、そして他の選手を移籍市場の締め切り時点でトレードに出し、人材確保のプロセスをスタートさせる必要がある。もしも、プレーオフ争いにいれば、この核となるグループが一緒に戦う最後のシーズンを無駄にするわけにいかない」

「ダラス・オブザーバー」の特集では、このように分析。もし前半戦でレンジャーズが優勝争いから脱落していれば、PO進出の可能性を残す他球団にダルビッシュ、ルクロイを放出して代わりに有望な若手を獲得し、再建策を進めることになるという。下位に沈むチームが契約最終年の大物選手をトレード期限までに放出し、代わりにプロスペクト(若手有望株)を加えるという“強化策”は、メジャーではほとんどの球団が取る手段だ。

 来季の先発ローテーションについて、記事では「怪我がなければ、レンジャーズの2017年の先発ローテーション3人は決まっている。ダルビッシュ、コール・ハメルズ、マーティン・ペレスが開幕シリーズ、インディアンス戦で先発することになる」と予想。ダルビッシュは絶対的なエースとして迎えるシーズンで、悲願の世界一を目指すチームを躍進へと導きたいところだ。

 レンジャーズの一員としてプレーオフのマウンドに立つのか、それとも“優勝請負人”としてシーズン中に他球団にトレードされるのか。残り1年となった契約状況も日本人右腕の動向に大きな影響を与えそうだ。