「自分がどういう人間か、誰にも決めつけられたくない」――松田翔太の変化は止まらない。
俳優としての軌跡が、そのまま僕の生き様
――松田さん自身、久保塚と似ていると感じる部分はありますか?
久保塚はフェアですね。そこは僕と一緒だと思います。精神的な部分でフェアというのかな…? 努力してないヤツには厳しいし、逆に努力をしている人間は誰であっても認めるし、リスペクトしてる。
――そうしたフェアを求める精神は、どうやって培われたのでしょう?
アンフェアなのが好きじゃないって気持ちは昔から強かったですね。シンプルに公平さを求める気持ちが強いんです。学校生活などでいろんな不条理や、わけのわからないルール、窮屈さに直面して、そういう思いを強くしていったんでしょうね。
――久保塚は、いつもめんどくさそうで、本当に頼りになるのかな? と思わせつつ、しっかりと被害者や困っている人々との関係性を築いていきますね。この独特の他人との距離感も魅力です。松田さんも、作品ごとに共演者や監督との出会いがあると思いますが、大切にしていることなどはありますか?
出会いは生ものということですね。自分の脳の中で「この人はこういう人だ」というイメージを持ってしまったら、その人が生の会話で何を言ってもそういう人にしか見えなくなっちゃうところってあると思う。だからこそ“生(なま)”という部分を大事にしたい。
――他人からの前情報やイメージにとらわれず…。
出会いに限らず、芝居に関しても言えることだなって思います。それは年齢を重ねて少しずつ、わかってきたことなんですけど。「この人はこう」と決めつけたくないし、僕自身、決めつけられたくもないし、ずっと同じであり続けたくもない。少し話がずれるけど、俳優それぞれ、いろんなスタイルはあるけど、ずっと同じことをやり続けたいと思わない。
――常に変化し続けていたい?
僕は、自分の俳優としての軌跡が、そのまま生き様を表してると思っています。僕という人間がどうなっていくか? それが指標として作品や役柄を通して表現されている。そして、そこでの出会いに常に刺激をもらいたいし、与えたい。
――まさに現在進行形でフレッシュな反応を楽しみたい。
何気ない日常でもそう。コンビニでね、心を半ば殺してオートマチックに対応している店員さんもいるでしょ? そういう人の目を見て「ありがとう」と言うと、意外とその瞬間に何かがフワッと解放されたりする。そういうのが好きなんですよね。
負荷を課して走り続けた20代、そして30代へ…
――30歳になって…というお話も出ましたが、松田さん自身のここまでのキャリアについても伺っていきたいと思います。2005年のデビューから約11年。20代のすべてを俳優という仕事に捧げてきたことになります。
いま、30歳になって感じるのは「元に戻った」という感覚なんですよね。いまの自分を見て、僕はもともと、こういう人間だったんじゃないかって感じるんです。もちろん、30歳になったいまの自分と同じことを、当時19歳のクソガキが言ってても、何の重みも厚みも感じないでしょうけど(笑)。
――つまり、デビューからの10年ほどで紆余曲折があった上で、元の状態に戻ったと? 具体的にどういう変化があったのか教えていただけますか?
変化というか、自分が不得意なことをやろうとしてたんですよね、ずっと。苦手なことに向き合い、それを打ち砕くことで満足感を得られるというか。若さを超えられると思っていました。
――若さを超える?
そう。自分自身も含めてなんですが、若さだけで、何も考えずに放出しっぱなしのヤツが好きじゃないんですよ(笑)。やりたい放題やるのではなく、あえて負荷をかけることで、それを乗り越えれば、自分の若さとか、いろんなことを正当化できるんじゃないかって。
――恵まれた環境にいるからこそ「苦労は買ってでもしよう」と?
そうすることで自信が持てたんでしょうね。
――そうしたマインドも昔から持っていたんでしょうか?
以前、ロンドンに留学してたんですが、学校も自分で決めて、母親にも「受かったよ」と事後報告で連絡して入学したんです。それこそ、やりたいことだけやってました。でもそこで、少しだけ自分に秩序や規律を与えてみようと思ったんですよね。
――先ほどの話にもあった“負荷”ですね。
そこは美術系の学校だったけど、そのときに「油絵で好きなことを描いてごらん」と言われても、何を描いていいのかわかんなかったと思う。それは自覚していて、それじゃ勉強にならないから、建築デザインの学科を選んで、イスのデザインから始めて、ランプを作ってと、インテリアから建築全体までの工程を順番に学んでいったんです。
――まさに秩序と規律ですね。
ある程度学んで、日本に帰国したら、いきなり『花より男子』(TBS系)に出ることになって。それまでやってきたこととまったく別の世界に放り込まれて、全然違うことに向き合わなくちゃいけないとなったとき、ロンドンと同じように自分の不得意だと思うことをあえてやることで、自分の進むべき道を探ろうとしてたんですよね。
――あえて自分にハードルを課して、そのルールの中で表現をすることで、逆に道が定まった?
そうすることで、自分が本当は何をしたくてどこに行きたいのかが見えてくるというか…。
――なるほど。
そうやって20代を過ごしてきたけど、さすがにおもりをぶら下げたまま走り続けるのはしんどいから、30歳になって少しずつ、自分を解放していこうかと。そういう意味で、いま「油絵で好きなものを描いてごらん」と言われたら、完璧じゃなくても何かが描けるんじゃないかなと思います。
――仕事とプライベートのバランスという点で、心がけていることはありますか?
みんな、仕事って真面目にやらなきゃいけない、ある程度キツイことも我慢してやらなきゃいけないって感覚があるでしょ? 我慢、我慢、努力、努力…って。でも僕は、プライベートでこそ努力とか我慢をいっぱいしたいと思ってる。
――その真意は?
たとえば、僕はプライベートで山に登るのが好きなんだけど、ものすごくキツイし、そのために仕事のときよりも早起きするし。その上で、しっかりと友達とも飲みに行くし(笑)。
――飲みに行った上で早起き!(笑)
それはね、キツイですよ、本当に(苦笑)。でもそうやって、プライベートで自分を追い込むことで、感覚が逆転するというか、仕事にリラックスして臨めるんですよね。だから、僕にとっては休むために仕事をしてるんじゃなくて、仕事を楽しむためにプライベートでキツイことやってる気がします。
――すべては仕事に100%の状態で臨むため?
そう言ってしまうと、ものすごく苦しそうだけど、山に登って頂上に到達するとね、ちゃんと解放感があるんですよ。自分にとって「解放」ってそういうこと。
――ちゃんと楽しんでいるんですね。
頂上から下山していくと、「よし、明日からまた仕事だ!」ってテンションが仕事に向けてだんだんと高まってくるんです。それはすごく大事だなって思います。
【プロフィール】
松田翔太(まつだ・しょうた)/ 1985年9月10日生まれ、東京都出身。A型。2005年、スペシャルドラマ『ヤンキー母校に帰る〜旅立ちの時 不良少年の夢』(TBS系)で俳優デビュー。同年、『花より男子』(TBS系)で“F4”のひとり西門総二郎を演じ、注目を浴びる。2007年『LIAR GAME』(フジテレビ系)でドラマ初主演。翌年にはNHKの大河ドラマ『篤姫』で徳川家茂を演じ、2012年にも『平清盛』に後白河天皇役で出演。このほか映画出演作に『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』、『ハードロマンチッカー』、『イニシエーション・ラブ』など。今年は『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』に続き、9月17日には『オーバー・フェンス』も公開。
松田翔太(まつだ・しょうた)/ 1985年9月10日生まれ、東京都出身。A型。2005年、スペシャルドラマ『ヤンキー母校に帰る〜旅立ちの時 不良少年の夢』(TBS系)で俳優デビュー。同年、『花より男子』(TBS系)で“F4”のひとり西門総二郎を演じ、注目を浴びる。2007年『LIAR GAME』(フジテレビ系)でドラマ初主演。翌年にはNHKの大河ドラマ『篤姫』で徳川家茂を演じ、2012年にも『平清盛』に後白河天皇役で出演。このほか映画出演作に『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』、『ハードロマンチッカー』、『イニシエーション・ラブ』など。今年は『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』に続き、9月17日には『オーバー・フェンス』も公開。
■『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』
9月3日(土)公開!
http://www.dias-police.jp/
■この記事を読んだ人にオススメ!
・「プライベートにこだわらない」――綾野 剛は失ったものと引き換えに何を手に入れたのか?
・「臆病だし、弱いし、何かにすがりたい」―― 斎藤 工が明かす胸の内
・「火が点いたら、大爆発するかも」 門脇 麦×菅田将暉が考える“僕らの世代”
★★松田翔太さんのサイン入り非売品パンフレットを抽選で3名様にプレゼント★★
今回インタビューさせていただいた、松田翔太さんのサイン入り映画パンフレットを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。
■応募方法:ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
\#ディアスポリス 9/3公開!/#松田翔太 サイン入り非売品映画パンフを3名様にプレゼント☆★https://t.co/97f2Pu0ZZ2@livedoornewsをフォロー&このツイートをRTするだけで応募完了です! pic.twitter.com/qfnTD1WukB
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2016年9月2日
■受付期間:2016年9月2日(金)12:00〜9月8日(木)12:00
■当選者確定フロー
・当選者発表日/9月9日(金)
・当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し)のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
・当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから9月9日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。9月12日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
■キャンペーン規約
・複数回応募されても当選確率は上がりません。
・商品発送先は日本国内のみです。
・応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
・応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
・当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
・商品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
・本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
・個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。