2001年9月4日に行われた「東京ディズニーシー・グランドオープニングセレモニー」 ©Disney

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2001年9月4日に開園した東京ディズニーシー。世界で唯一、「海」をテーマにしたディズニーパークです。

【写真】開園当時はガラガラ!? TDSの15年間を振り返る フォトギャラリー

2016年、東京ディズニーシーは開園15周年を迎えます。

実は開園当時、東京ディズニーシーは訪れるゲストが少なく、ガラガラだったのです。

では、どうして、今のような大人気パークへと生まれ変わることができたのでしょうか。

東京ディズニーシー15年の歴史を振り返りながら、生まれ変わることができた「3つの理由」を見ていくことにしましょう。

1. キャラクター色の強化

東京ディズニーシーは「冒険とイマジネーションの海」がコンセプトになっています。

運営会社のオリエンタルランドは、東京ディズニーシーが東京ディズニーランドのカーボンコピーにならないよう、差別化を図りました。

その差別化の中で一番目立ったのが、ディズニーのキャラクターたちの露出を少なくするというものでした。

もちろん、開園当時からミッキーマウスを始めとする、キャラクターたちはパークに出演していました。

しかし、あくまでも「親善大使」という扱いで、東京ディズニーランドと比べると、露出は押さえられていたのです。

キャラクター色を薄くした分、東京ディズニーシーでは大人向けのアトラクションやショー、アトモスフィアが強化されていました。

ただ開園当時はアトラクション数も少なく、東京ディズニーランドと比べると、どうしても入園者数で苦戦してしまいます。

オリエンタルランドの代表取締役会長(兼)CEOを務める加賀見俊夫氏は、雑誌『財界』の2010年8月24日号のインタビューで「東京ディズニーシーは、何があっても当初5年間はコンセプトを曲げないと決めていた」と語っています。

その後、オリエンタルランドは方針転換を図ります。

これまでの「大人向け」「異国情緒」といった、東京ディズニーシーの魅力を大切にしつつ、キャラクター色が強いアトラクションやショーの導入を進めていったのです。

結果的に、これまで東京ディズニーランドを訪れていた家族客も、東京ディズニーシーを訪れるようになっていきました。

2. ダッフィーの登場と人気の高まり

東京ディズニーシーを語るうえで欠かせないのが、大人気キャラクターとなった「ダッフィー」です。

しかし、ダッフィーもまた、登場した当時は「知る人ぞ知るキャラクター」で、グリーティングにも人がまばらだったのです。

ダッフィーはアメリカのパークで売られていた「ディズニーベア」をもとに、オリエンタルランドとディズニーが共同で開発しました。

どうしてもディズニーが手がけたイメージが強いのですが、オリエンタルランドの社員の方のアイディアが生かされているのです。

ダッフィーの人気に火が付くきっかけになったのは、2008年に行われた東京ディズニーリゾートの25周年イベントだと言われています。

この頃から、ダッフィーのぬいぐるみを買って、パーク内を抱っこしながら歩くゲストが増えていったのです。

ちょうどファンキャップやカチューシャを身に着けたり、Tシャツを着たりする感覚と同じように、ダッフィーを持ち歩くのがパークの楽しみ方の一つになりました。

また、メディアでダッフィーが取り上げられたり、フィギュアスケートの浅田真央選手に、ダッフィーのぬいぐるみが贈られたりしたことも、ダッフィーの人気が高まるきっかけになりました。

ダッフィーは東京ディズニーシーの中にあるショップでしか、買うことはできません。

ダッフィーの人気が高まったことにより、グッズを買い求めるために、東京ディズニーシーを訪れるゲストが増えていったのです。

結果的にダッフィーは、これまで東京ディズニーシーを避けたり、訪れなかったりしたゲストを、パークに呼び込むきっかけを作り出しました。

3. スペシャルイベントの共通化

東京ディズニーシーが東京ディズニーランドとの差別化を図り、結果的に入園者数で苦戦してしまった、というのは先ほども触れたとおりです。

開園当時、東京ディズニーシーでは東京ディズニーランドと異なり、大人向けのスペシャルイベントを開催してきました。

しかし、最近では東京ディズニーランドと同じスペシャルイベントを行い、東京ディズニーシーらしさを打ち出す方向に変わってきています。

これは同じイベントのほうがグッズ展開がしやすい、というのも理由としてありますが、ゲストが「こんなイベントかな?」と想像しやすいのも、理由の一つだと考えられます。

どんなイベントか、その内容が想像できないものよりも、「ハロウィーン」や「イースター」といった、想像しやすいイベントであれば、その分ゲストの足もパークに向きます。

東京ディズニーシーの場合は、クリスマスは2002年から、ハロウィーンは2009年からスペシャルイベントとして開催しています。

また最近では七夕(2014年〜)やイースター(2015年〜)も、東京ディズニーランドと同じように行っているのです。

今後は同じスペシャルイベントでも、東京ディズニーランドらしさ、東京ディズニーシーらしさを打ち出して、集客していくのでしょう。

世界でここだけ! 唯一無二のパーク

東京ディズニーランドは、アメリカ・フロリダにあるマジックキングダムをモデルに造られました。

アメリカ・カリフォルニア、フランス・パリ、中国・香港にもディズニーパークがありますが、シンデレラ城がシンボルになっているのは、東京ディズニーランドとマジックキングダムだけです。

一方で、東京ディズニーシーは、モデルになったパークはありません。

世界でここだけ、一つしかないディズニーパークなのです。

徹底的に作りこまれた風景とストーリー、そしてここでしか体験できないアトラクションやショーを楽しむために、外国からも観光客が訪れています。

これからも、ゲストのニーズに合わせて、東京ディズニーシーも変わっていくのでしょう。

私たちにどんな冒険とイマジネーションを見せてくれるのか、期待したいですね。