年末年始のビンゴゲーム、実は罪に問われる可能性も?

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年末年始のパーティーシーズン。余興の定番といえばビンゴゲームだが、実は、やり方には注意が必要だ。ビンゴゲームが罪に問われるおそれがあるからだ。

法律上、「番号札を販売して、抽選などの偶然的な方法で当選を決めるくじ」は富くじと呼ばれ、禁止されている。ビンゴはこれにあたるのか。津田岳宏弁護士は、「参加者が危険負担をしているかどうかが分かれ目」と指摘する。

「危険負担とは、ゲームに参加するためにくじの代金を支払うこと。たとえば1枚いくらでビンゴカードを販売すれば、参加者の危険負担があるので富くじ罪に該当します。一方、結婚式の二次会などで参加者に無料でビンゴカードを配るのは、危険負担がないのでセーフです」

カードは無料で配ったとしても、最初に会費をもらっているので実質的に有料とみなされる心配はないだろうか。

「ビンゴと会費に対価関係がないので問題ないでしょう。ただ、会費に差があり、高い会費を払った人だけでビンゴをやると、通常の会費との差額分は危険負担があったとみなされるおそれもあります」

ビンゴが富くじとみなされれば、発売した人は「2年以下の懲役又は150万円以下の罰金」、授受した人は「20万円以下の罰金又は科料」だ。ただ、身内の集まりなら実際に検挙される可能性は低い。

「司法には、形式的には違法でも、軽微な場合は処罰しないという考え方があります。とくに富くじ罪のような風紀に対する罪は公然性がない場合は処罰されにくいです。仲間内の賭け麻雀が形式上は賭博罪でも逮捕されないのと同じです。ただ、賞品が豪華すぎたり、景品ではなく賞金にすると、違法性が高まるので注意です」

■宝くじや年賀状はなぜセーフ?

ビンゴ以外のくじについてはどうだろうか。

まず、商店街の福引は、くじを引くためにお金を別途払わないので問題なし。景品が当たる企業のキャンペーンも同様だ。ただし、これらは刑法とは別に景品表示法の規制を受け、景品の上限額が決められている。

くじといえば、宝くじやお年玉付き年賀状も忘れてはいけないだろう。これらは危険負担があって立派な富くじに思えるが、宝くじは「当せん金付証票法」、お年玉付き年賀状は「お年玉付郵便葉書等に関する法律」という法律により、認められている。国などが主催者になる場合は違法ではなくなるという理屈は、どうにも納得しがたい。はたして、富くじはそれほど悪いことなのだろうか。津田弁護士の見解はこうだ。

「競馬や宝くじが隆盛している中での賭博罪や富くじ罪の存在は非常に疑問です。判例では、怠惰浪費の弊風を生じさせ、勤労の美風を害することが処罰根拠となっていますが、海外の調査結果では、賭博と勤労意欲は関係ないとなっています」

いまやカジノ解禁が検討される時代。富くじ罪も見直されていいのかもしれない。

(文=ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=弁護士 津田岳宏 図版作成=ライヴアート)