マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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地元記者のツイートから始まった“守護神イチロー”論

 これも“イチロー人気”の証しだろうか。マーリンズイチロー外野手に対して、クローザー候補として待望する声が沸き起こった。

 始まりはMLB公式サイトのマーリンズ番記者、ジョー・フリサロ記者のツイートだった。

「私の仲のいい日本のメディアと話したけれど、彼らはイチローが平地で93マイル(149キロ)投げると言っていた。彼はスライダーとチェンジアップの使い手でもある」

 愛工大名電高時代にエースを務めていたイチローのピッチャーとしての実力を伝聞ながらレポートすると、守護神シシェックの度重なる救援失敗に泣かされてきたマーリンズファンは一気に飛びついた。

「彼をクローザーに置くんだ」
「彼に試合を締めてもらおう」
「朗報だ。彼が試合をクローズできる」
「おそらくあり得ないのだろうけれど、もしも彼が希望すれば、イチローはクローザーになれるチャンスはあると思うか?」
「新しいクローザー?」

 有資格1年目での殿堂入りが確実視されているレジェンドに対して、何と現地ファンからクローザーとして期待する投稿が寄せられたのだ。

 中には「彼にできないことなんてあるのか?」とイチローの規格外のオールラウンダーぶりに驚きの声も上がっていた。

 変則右腕のシシェックは今季1勝3敗3セーブ。救援失敗はすでに4度で昨年1シーズンの数字にすでに並んでしまった。防御率は10・32にまで悪化。現地では、マーリンズが現在フリーエージェントのメジャー通算175セーブ、ラファエル・ソリアーノ投手の獲得に動いているとの報道も出ている。

「なぜ、彼はクローザーじゃないんだ?」

 フリサロ記者は「1996年、日本で行われたオールスターでイチローは投げている。映像も存在する。イチローは当時91マイル(145キロ)でミットを鳴らしていた」と続けてツイートすると、ファンは「なぜ、彼はクローザーじゃないんだ?」と反応している。

 オリックス時代の1996年のオールスター第2戦。イチローは9回裏2死の場面でマウンドに立った。巨人の松井秀喜外野手の打順だったが、セを指揮していた当時ヤクルトの野村克也監督は代わりに自軍の高津臣吾投手を打席に送った。当時、イチローは5球を投じ、遊ゴロに打ち取っている。

 ヤンキース時代の昨季も救援陣を大量投入した際に投手起用の可能性が浮上していたイチロー。その際は地元紙の取材に前向きな姿勢を見せていた。さすがに今回のクローザー起用の可能性は極めて薄いと言えるが、ファンの反応を見ても、マルチな能力を誇る41歳に大きな期待が寄せられているのが分かる。

 今季、「4番目の外野手」として加入したイチローはクリスチャン・イエリッチ外野手が椎間板ヘルニアで離脱中に先発で活躍。現在、チームでユニフォームの売れ行きがナンバー1とも伝えられており、レジェンドの地元人気は大きな高まりを見せている。