2014年夏の芥川賞は、柴崎友香の『春の庭』(文藝春秋)だった。そして芥川賞受賞第一作として9月に刊行されたのが、『きょうのできごと、十年後』(河出書房新社)だ。偶然にも、単行本デビュー作『きょうのできごと』(2000年、のち河出文庫。Kindleはこちら)の続篇ということになる。いま単行本デビュー作という聞き慣れない言いかたをした。『きょうのできごと』は長篇小説なのだけど、その成り立ちは、1999年に独立した短篇