LED表示器では“駅”という漢字のうまへんの点が3つになることもある

写真拡大 (全2枚)

ふだん乗る機会の多い路線バス。雨の多いこの季節、とくにお世話になることがしばしばあるが、乗って必ず目につくのは行先や停留所名を示すLED表示器だ。

ところで、「つぎは○○」と漢字やかなでLEDを光らせて表示するとき、画数の多い漢字ってちゃんと表示できるものなのだろうか。そんな素朴な疑問を今回は表示器メーカーのレシップに聞いてみた。

――そもそも字を表示させる表示器の仕組みはどうなっているのでしょうか?
「表示器内の基板で制御しており、LED素子を光らせることで文字を表現しています。文字は、日本語の文字コードであるJISコードに従っています」

――ではズバリ! 画数の多い漢字表記は可能なのでしょうか?
「基本的に、JISコードの第1、第2水準に指定された漢字は、表示することができます。ただ……」
ただ、なんでしょう?
「画数が多い漢字は、そのまま表示させると文字がつぶれてしまいますので、文字の判別がつくように、簡略化されている場合もあります」
画数が多い漢字が簡略化されているという具体的な例を挙げると……。
「“駅”という漢字は、うまへんの点が4つありますが、3つになることもあります。文字のサイズや、表示器の大きさにより、3つになったり、4つになったりします」
これには驚き!

――ところで、漢字やかな以外の表示はできるのでしょうか?
「できます。当社独自のLED表示器で、JISコードに登録のない昔の漢字を作ったり、ハングル文字や、星型などの記号にも対応したりしています」

一方、バス車内に設置されるデジタル運賃表示器は、液晶の運賃表示器に入れ替えが進んでおり、このようなこと(文字がつぶれる)は起こらないという。また、文字だけでなく、静止画や動画も表示できるそうだ。
「表現の幅が広がりますので、多くのお客様にご支持いただいいています」
気づかないうちに進化しているわけだ。

画数の多い難しい漢字って人間でも書くのに苦しむもの。それが機械でも表示が難しいというのはおもしろい。アルファベットの世界ではこんなことはまずないだろう。そう考えると、漢字は世界でも有数の「書く、表示する」のが難しい文字といえそうだ。
(羽石竜示)