『モモはどこ?』アンドリュー・ナップ(著)、中村有以 (訳)/飛鳥新社

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『ウォーリーをさがせ!』という本をご存じだろうか。しましまの洋服をきたメガネのウォーリーを、見開きページのなかから探すというコンセプトの本だ。小さいころ、夢中になってウォーリーを探したのを今でも覚えている。
そんな『ウォーリーをさがせ!』と同じようなことを、自分の愛犬と一緒に写真で行っている人がおり、以前よりインスタグラムをフォローし写真を見ては癒やされていた。この度、『モモはどこ?』(原題はFIND MOMO)として書籍化され、販売が開始されたと聞いて、喜び勇んで手に取ってみた。

そこには、かくれんぼが得意なボーダーコリーのモモと、飼い主であるアンドリューさんの楽しい毎日がたくさん掲載されていて、そのなかからモモを探すワクワクもたくさんあった。アンドリューさんとモモは現在、カナダに住んでいる。出版元である飛鳥新社さんにどうしてこの書籍を日本で発行するに至ったのかを聞いてみた。

「『フランクフルトブックフェア』という本の見本市で、この本と出会いました。原書を刊行しているQUIRKという出版社は、企画重視でちょっと変わった面白い本を出すところとして知られています。飛鳥新社も以前からつきあいがあり、見本市の会場でこのタイトルを紹介されました。編集担当である私もその場にいましたが、『ウォーリーをさがせ!』と犬の写真集を組み合わせたそのアイディアに、『やられた!』と思いました。しかし、他の犬がまねしてできるものではないことにすぐ気づきましたので、ぜひ翻訳出版したいと考えました。幸いなことに、社内での検討会でも全員「カワイイ!」という反応で、とんとん拍子に話が進みました」

写真を撮っているモモの飼い主、アンドリューさんは日本で『モモはどこ?』が刊行されることを知り、とても喜んでくれたそうだ。書籍のレイアウトやコメントなどについても日本語が分かる友人に翻訳してもらい、素晴らしい! と感動していたそう。

ちなみに誰にも聞かれていないが答えると、私は大の猫好きで、猫のことばっかり考えているし、猫のグッズには目がなく、自身も二匹のぽっちゃり猫を飼っている。しかし、この写真集を見てから犬を飼いたい衝動と果てしなく戦っている。

いや、実際問題は環境として絶対にムリなのだが、大の猫好きである私の気持ちを動かすほど、写真に写っているモモが強烈にかわいいのだ!

どの写真でもアンドリューさんが「待て」としたら、OKが出るまでひたすらその場で待ち続けるというモモ。いろいろな物陰から頭がひょこん! と飛び出ている様はもうキュートすぎてその場で本を持ってごろんごろん転がりたくなるくらいだ。

個人的には、両足を桟にちょこっと置いてこちらを見つめている写真に、完全にノックアウトされてしまった。何そのかわいさ、そこらへんの自分撮りするかわいい女子の10億倍かわいい! と鼻息が荒くなってしまう。

マニアックな私のオススメはさておき、編集担当者にオススメの写真を聞いてみたところ、「この本の写真のかわいさは、じっと我慢してこっちを見つめている姿にあるのだと思っていますが、個人としましては、61ページの雪が吹きすさぶ中じっとこっちを見ているモモの姿が好きです。風でちょっと毛が逆立っているのもたまりません(笑)」

見てみました。ええ、堪りませんね! 風で毛が逆立っていますね。あーかわいい。なんてかわいいんだモモ!
しかし、かわいいのはモモだけではない。飼い主であるアンドリューさんの黄色いワゴン(1977年式フォルクスワーゲン・ウェスト・フォリア)もかわいいし、友人のマシューがイモムシの着ぐるみを着て一緒に写っているのもかわいいし微笑ましい。(なぜそうなったかはぜひ書籍を見ていただきたい)

また、WhyWeRescue.com(動物達に心を救われる人間達の姿をとらえた写真を掲載しているサイト)で活躍されている方のワンちゃんも出てくる。どういう関係なのかは、ぜひ書籍を読んでいただきたいが、私はこちらのサイトもチェックをしていたので「おお!」とうれしいサプライズに驚いてしまった。

最後に、どんな人に本書をおすすめしたいか、編集担当者に聞いてみた。
「やはり、お子さんも含めたご家族で眺めていただくことを想定して編集いたしました。そのため、ことさらに易しい言葉に変換することはいたしませんでしたが、全ての漢字にヨミガナを振る形にしました。また、先ほどまねできるものではないと申しあげましたが、実はこの本を読んでいただいた人の中には、自分の飼い犬と一緒に、自分なりの『モモはどこ?』写真を取られている方もいらっしゃいます。犬を飼えない環境に住んでいる人間としては、うらやましいかぎりです。この本を楽しんでいただいたあとには、もし犬を飼っておられたら、ご自身でいろんなヴァリエーション作りに挑戦されるのも面白いのかなあと想像しています」

もし、モモみたいな犬がいたら……と想像してみると、果てしなく夢が広がる。週末に予定がない日には、一日ベッドの上でごろごろし、猫と一緒に可能なかぎり惰眠をむさぼっているが、きっと写真を撮りにお散歩にでちゃうんだろうなー、なんて妄想をしてみる。そんなことができたらダイエットになるかも! ああ、想像するだけで楽しい!!

それはさておき、ここまで記事を読んでくださったけどまだ購入を迷っている方に、担当者から一言!
「カワイイだけではなく、写真としての美しさ、モモを見つける楽しさと魅力がたくさん詰まった本です。ご購入いただいて、きっと損はありません!」

確かに、写真としての完成度も非常に高いと素人ながらに思う。カナダとアメリカの美しい景色を楽しみつつ、お子様と一緒にモモを探してみませんか? 仕事で気分を切り替えたいときにもオススメの一冊だ。
(梶原みのり/boox)