※KIKI×ホテルルナパーク「Dogo Kamelie Hütte / 椿ヒュッテ」

地元の方、特にコラボレーションをする宿泊施設の方に、アーティストの魅力を知っていただかないとお客様に説明ができない。一番悩んだのは、この部分でした。なぜその方を選んだのかという背景はもちろん、アーティストと会っていただき感性に触れていただこうと。でも、その心配は不要でしたね(笑)。おもてなしの心で日頃からお客様に接している方々なので、アーティストについてリサーチし、直接会った時にコンセプトや設計の経緯などをヒアリングし、自分たちの言葉でお客様に説明ができるよう勉強されていました。

宿泊施設にアートを作ったことが、ほかでは感じられないオンセナートの最大の魅力だと思います。そもそも、アートって鑑賞するだけじゃないですか。オンセナートは見た目のインパクトだけでなく、実際に宿泊したり見学したり目で見て触れて感じて、そして、宿のスタッフから作品ができるまでの背景をくわしく聞いて…、と五感に訴えかけてきますから。



※石本藤雄×茶玻瑠「Suuri Taiga / 大草原」

―地元の方々が主体となって動いているからこそ、お客様の心にも響くのですね。

「道後オンセナート」の総合プロデュースは東京の事務所が行っていますが、地元の人間が関わってこそ効果もあがり、プロジェクトの本来の意義をまっとうできるのだと。そのために、僕たち「道後アートプロジェクト」の若い世代が、道後の未来を思い、今必要なことはなにかを考えながら動くべきだと思っています。



※谷川俊太郎×道後舘「はなのいえ」

誰だっていつでも詩人になれる。仕事をする部屋というコンセプトなので、机の引き出しにあるノートには実際に詩を書くという仕事をしてもらう。縁側に腰かけ見上げれば、庭の木々と空。この眺めこそが癒し。特に男性の方がリフレッシュされるようで「また来ます」という声をいただくことが多いという。(井藤支配人)

地元NPO法人と若手アーティストで作ったコンソーシアム「道後アートプロジェクト」の役割は、地元アーティストによるロゴマークの製作、「アートにのぼせろ」というブランドコンセプトの設計、告知ポスターやアート作品を紹介したガイドマップの制作。さらに、「道後のぼせ新聞」というフリーペーパーでのタイムリーな情報発信、観光客へのおもてなしや運営サポートを行う「のぼせ隊」の運営、集客につながるイベントの企画・実行などです。

若いスタッフが中心ですが、これまで道後を支えてきてくれた両親ぐらいの世代の方に話を聞いたり、コミュニケーションをとり協力を仰ぎながら、世代を超えて一緒に進めています。



※皆川明×花ゆづき「ロ」

また、オンセナートは観光客のためだけでなく、地元で生活している方々にも楽しめるよう配慮しています。たとえば、道後オンセナートのひとつに建物の壁を利用した影絵があるのですが、「1000年先の道後温泉」をテーマに地元ワークショップを開催し、ある中学生が「温暖化で海抜が70m上がっているから気球のようなもので人々は移動したり生活したり、建物が浮いていたりする」と発表。そのアイデアをスティーヴン・ムシンが作品として形にしてくれました。


※スティーヴン・ムシン 大影絵/道後夜話

道後の街は空港からバスで40分。路面電車でぶらりと街をめぐれます。道後温泉は、それこそ歩いてまわれるぐらいコンパクトな観光地で、観光客と地元の人との距離感が近いんです。だからこそ、地元の人が作りだす空気感が大事。

地元の人がこの街を愛し、そこで暮らし使い、楽しんでもらってこそ街にエネルギーが満ち溢れるものです。そして、地元の人と観光客との交流が生まれ、普通の旅では体験できないような体験をしてもらえるはずです。

※夜の道後温泉本館と、館内のアート作品「杵村 史朗 / ふりかえる」。休憩所の特定の席に座ると歴史絵が投影される。


※館内には皇室専用の部屋と浴室もあり見学できる。

―道後オンセナートは、ファミリーでも楽しめる内容ですか?

もちろんです。もともと、道後温泉に来られる観光客のなかで20〜30代女性が少なく、ターゲット的に弱いゾーンでした。ですから、今回のイベントでは徹底して女性層に楽しんでもらえるものを意識しプランニング。女性の心を捉えられれば、その方が家庭を築き子どもを産んだ後に、また行ってみたいと思い出してくれるはずです。今現在だけが活性化するのではなく、次世代へと繋ぐイベントでないと意味がないですから。

草間彌生さんのように、若い女性に人気のあるアーティストのおかげで、女性グループ、カップルが急増。ただ、それだけにとどまらず、子どもをもつ女性にアピールするために、街全体で取り組みました。

たとえば、道後温泉本館での湯上り浴衣は子ども用サイズを4種類用意しているのですが、BEAMSとのコラボ浴衣にもキッズサイズを用意。さらに子ども用の街歩き草履を用意したり、ベビーべッド、キッズメニューなどを備えた施設、畳部屋や部屋風呂ありなどのファミリーが利用しやすい宿泊施設があることを、当たり前のことながら丁寧にアピールしています。

そもそも、道後のお湯は肌にやさしいアルカリ性単純温泉ですから。デリケートな赤ちゃんも、家族と一緒にお湯に浸かっていただけます。そういう情報発信も大切にしながら、道後温泉に来て体感してもらうことこそが最大のアピールですね。


オンセナートの効果もあり、実際に女性だけのグループが増えたばかりでなく、小さな子どもを連れた30代中心のファミリー層の姿も目立つようになりました。子どもたちの屈託のない声が聞こえるだけで、街が元気になり、活気にあふれます。この街はいい意味で現代っぽさがないので、ゲームも遊び場もない。この場所自体が遊び場。

アートを見ながら「お母さん、これって何なの?」「これはね・・・・」という親子の会話が生まれたり、足湯につかりながら「気持ちいいね〜」なんてのんびりしたり。あわただしい日常から離れ、親子向き合って過ごす時間の良さに気付くきっかけになればうれしいですね。

※公衆浴場「椿の湯」の壁面に飾られたアート「リリアン・ブルジェア FABULA - 寓話 -」

昔、道後動物園があったことから、水に集まる動物たちの姿を、木製の子どものおもちゃのような雰囲気で表現。フラミンゴやワニのなかで、一羽だけ鷺がいる。道後温泉を白鷺が発見した伝説を、アートをきっかけに親子で会話してもらえたら、と松波さんは言う。

路面電車も現役で走っています。昔懐かしい場所に戻ってきたような、田舎のおじいちゃん・おばあちゃんの家に来たような。古い風情の残る道後温泉のやさしさに触れてもらえればと思います。


とてもいいお話を聞かせていただきました。実際、温泉街を歩いていても、親子連れが多いことに驚きました。おそろいの浴衣を着て歩いていたり、湯上りにジュースを飲んだり。なんだかホッとしますね。

ファミリーにやさしい温泉街、子どもの元気な声が響く街。保険も本来、子育て世代にとって家計にやさしく、子どもの将来を考えたものであるべきです。ライフネット生命も、子育てや教育など負担の大きい世代にとって、家計負担を少なく安心して保障を備えてもらうことを大切に考えています。本日はありがとうございました。


今回のようなスポット取材や育児に関するインタビューは、新米パパママのための特集『育児はいつも、波乱万丈( ̄▽ ̄)』というコーナーで連載しています。「子育て世代の生命保険料を半額にして、安心して赤ちゃんを産んでほしい」という思いで開業したライフネット生命がお送りしました。

■記事協力:ライフネット生命
http://www.lifenet-seimei.co.jp/

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※取材・文章:森下裕美子 編集:谷口マサト