関西vs市立呉

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関西が誇る強肩捕手・海野隆司が3投手を好リード!準決勝進出 

7番キャッチャー・海野隆司(関西)

 「肩の強さには誰にも負けたくないという思いがあります」と言い切った関西の正捕手・海野 隆司(2年)。関西には2013年選抜で、正捕手として出場した海野 裕介(3年)がいる。昨秋まで海野裕が正捕手。だが昨冬、正捕手を奪うつもりで、自慢の肩を磨いてきた。自信にするスローイングは1.8秒〜1.9秒台を計測。肩の強さはもちろんだが、捕球してからのステップ、テイクバックは無駄がない。実戦的なスローイングが出来る捕手で、大学・社会人の捕手と比較しても、強肩と分類される選手だろう。また彼は後ろへ逸らさないキャッチングも良い。江浦監督はスローイングと後ろへ逸らさないキャッチングを評価して、海野隆を起用することを決めた。

 実戦的なスローイングはイニング間の送球練習を鍛え上げてきた。「二塁送球を鍛えられる時間はあまりないです。だから練習試合の時からイニング間は真剣勝負のつもりで、送球練習を繰り返してきました。仲間にも図ってもらって、1.8秒〜1.9秒台を計測するようになりました」1試合ならば最大9回。10試合やれば、90回もスローイングを鍛えられる機会がある。小さな積み重ねによって実戦的なスローイングを築き上げた。

 この試合では3投手が登板。関西は2回までに4点を先制した。3人にはどうリードし、4点を守り切ったか。

 

3回以降無失点と好投を見せた市立呉の西田投手

 先発の細川 幹(3年)は久々の登板ということもあり、とにかく強く腕を振らせるように自信を持たせてリードさせた。細川は常時130キロ中盤の速球、スライダーを駆使し、5回まで1失点に抑える投球。2番手は左横手の市川 直洋(2年)は、「実際に打席に立ってみても怖い投手ですし、右打者にはインサイドへガンガン投げることを要求しました」6回は無失点に抑えたが、7回はミスも絡み、3番西田 晟(3年)の内野ゴロで1点を失い、二死三塁で降板。3番手はエース左腕の田中 雅之(3年)。田中は真っ向から振り下ろし、腕の振りが終わった後に、顔が思い切り下を向く特徴的な投法から最速137キロを計測する本格派左腕。田中には速球を生かせる配球を心掛けた。8回裏、二死二塁を招いたが、関西バッテリーは冷静。フルカウントとなって、四球でもいいから直球勝負で8番松岡 亮太(3年)を空振り三振に打ち取り、ピンチを切り抜けた。

 9回裏も守り抜き、関西が準決勝進出を果たした。海野隆は「リード全体ではまだまだですが、今日は久々の登板となった細川さんの好投を引き出すことが出来て良かったです」とコメントした。

 課題は打撃。今日は3打数1安打2三振だった。「今の打撃では、チームに貢献できないですし、もっと打てるようになって周りから信頼される選手になりたい」江浦監督は打撃だけではなく、リード面ももっと磨いてほしいと要求する。「リードはまだ経験不足なところがあります。修羅場というものをまだ経験していないので、それを潜り抜けて、良くなってくれればと思います」と期待している。関西にはバットコントロールの良さ、俊足が光る中堅の逢澤 崚介(3年)、ライトからの強肩、パンチ力ある打撃が光る土井 慎二(3年)が注目されているが、今後は海野 隆司のスローイングも見逃せない。

(文=河嶋 宗一)