【中国ブログ】「狂った民族主義」が観光地でのモラル違反の元凶だ
中国で今月1日、国民が国内外を観光する際のモラル・規則違反の行為をなくし、観光業の秩序を正そうとの趣旨の新たな法律「旅游法(観光法)」が施行された。これまで落書きや注意書きを無視した行為、また、「食事中にうるさい」、「ごみをポイ捨てする」といった中国人観光客たちの行為が続々と国内メディアに報じられ、「中国人の民度の低さ」が何度も指摘されてきた。
ではなぜ、中国人は旅先でモラルや規則に違反した行為をするのか? 中国人ブロガーで、米国の大学、セント・メリーズ・カレッジ・オブ・カリフォルニア英文学部の教授を務める徐賁氏が、「中国人が公衆道徳を守るには自尊心が必要」と題したエントリーを公開した。内容の一部を拾ってみる。
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中国人が国内外の旅先で「マナーが悪い」と報じられるのは、ルールを知らないからではなく、自尊心を持たず、自分をコントロールできないためだ。「自分は金持ちで勢いがある」と考え、自分を大事にせず、ひとたび他人から批判されれば敵対意識を持ち、「バカにされている」、「差別されている」と感じる。
海外の旅先で注意をされても、「文化が違うから」と言い訳するのは、過度のナルシシズム、「狂った民族主義」が原因だ。自尊心というものは生まれながらに持っているものではなく、小さいころからの環境に育てられていくものだ。自尊心があるからこそ、「私はよい人間であり、よい公民だ」と考え、それによって幸せや誇りを感じる。これが公衆道徳を守ることにつながるのだ。
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中国人のインターネット上での発言から常々感じるのは、「中国人は民度が低い」と自嘲し、自虐的な目で自らを見ていることだ。旅先でのモラル違反の報道についても、「中国のサッカー代表は弱い」という報道についても、中国のネットユーザーたちは「どうせ中国人はこんなもの」という視点で語る。
徐賁氏の指摘に基づけば、中国人は自分たちを誇りに思うことができず、反動的な「狂った民族主義」の中で言い訳をしながら生きている。そうだとすれば、「ルールは守らなければならない」と、法律で縛るだけでは意味がない。「正しい民族主義」を抱き、自分たちの存在を肯定し、誇りを持ちながら気配りができるような人間を育てる教育が必要だろう。(編集担当:古川弥生)(イメージ写真提供:123RF)