細貝萌 (撮影:岸本勉/PICSPORT)

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 今月中旬の欧州遠征に臨む日本代表のメンバーは、ほぼ順当なものと言っていいだろう。

 ワールドカップへ向けたザックの構想が、すでに固まっていることをうかがわせる。

 テスト的要素を含むのはボランチだ。9月の2試合に招集された青山敏に代わって、細貝が選出されている。海外組を呼びやすい前提があるとはいえ、所属クラブで定位置を確保している彼は要チェックの人材だ。

 ワールドカップでの戦いを想定すると、格上相手に真正面から撃ち合うのはリスクが大きい。システムに関わらず、守備に軸足を置いた戦いは用意しておかなければならない。これまでと同じ戦い方で挑むとしても、リードしているゲームを確実に逃げ切るための共通理解を、浸透させておくべきである。

 必要となるカードのひとつに、ディフェンスに特徴を持ったボランチがある。今回のメンバーで言えば、細貝は最適任者だ。類似するタイプの山口も含めて、彼らのテストはしておきたい。

 攻撃陣の起用も、同じ視点に立つべきだ。

 コンディションにさえ問題がなければ、岡崎、本田、香川の3人がワールドカップでも先発を射止めるだろう。見定めが必要なのは、交代のカードである。
ドリブル突破に定評のある乾と齋藤が選ばれているが、彼らをどのように生かすのか。

 ハーフナー・マイクが最前線に登場した場合は、ハイクロスを使った攻撃へ切り替えるのか。いまだ漠然としているこうした問いへの答えを、そろそろはっきりとさせたい。

 アウェイのテストマッチである。セルビアベラルーシのいずれも、日本が主導権を握れるとは考えにくい。それはまた、ワールドカップでの戦いを想起させるものでもある。

 ならば、単純に選手を使い回すのではなく、スコアや時間帯を意識して戦うべきだ。勝敗に一喜一憂するのではなく、実戦的なテストを臨みたいのである。チームのレベルアップと並行して進められているバックアップ層の見極めも、より具体的な試合運びの先に答えがある。