哲学のすすめ/純丘曜彰 教授博士
/哲学は、なにかの知識ではなく、知ったかぶりの口を折り、知らないということを知らしめる学問。だが、それが無いということをまず知ってこそ、その無いものを探し求めることもできる。/
なにをいまさら、と言う人が大半でしょう。たしかに図書館などにある哲学書の数々を見れば、あんなトンプンカンチンなものとつきあっているほどヒマじゃない、というのも当然。けれども、一言でいって、ああいうのは訳が悪い。ただでさえ「思考錯誤」の話なのに、それをわかってないやつが訳すから、よけい支離滅裂になる。
だいいち、何の役に立つのか。そもそも、何の学問なのか。そう問うのも、もっとも。学問の中で、哲学はもともと奇妙な地位にあります。というのも、それは、何も新しいことを教えない、それどころか、むしろ知っていることを減らす学問だからです。今も昔も、マスコミの評論家から、町内の御意見番まで、世の中には知ったかぶりがいっぱい。そういうニセ連中を、哲学では「ソフィスト(知恵者)」と言って嫌います。その時々の口先ばかりで人を言い負かすことには秀でているものの、結局は無理にゴリ押ししただけのことで、後でもっとひどいツケが回る。
いや、あなた自身の中でさえ、そうでしょう。子供のうちはなんでもすぐに人に聞いたり、自分で調べたりしたのに、半端に大人になってくると、見栄っぱりになって、物事を知らないということを恥じ、やたらと強弁でごまかすようになる。しかし、人を言い負かしたり、自分に言いわけをしたりして、それで話が前に進んだからといって、問題そのものが真の意味で解決したわけではありません。それどころか、問題を隠蔽していることは、虫歯のように、どんどん事態を悪化させていっている。
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なにをいまさら、と言う人が大半でしょう。たしかに図書館などにある哲学書の数々を見れば、あんなトンプンカンチンなものとつきあっているほどヒマじゃない、というのも当然。けれども、一言でいって、ああいうのは訳が悪い。ただでさえ「思考錯誤」の話なのに、それをわかってないやつが訳すから、よけい支離滅裂になる。
いや、あなた自身の中でさえ、そうでしょう。子供のうちはなんでもすぐに人に聞いたり、自分で調べたりしたのに、半端に大人になってくると、見栄っぱりになって、物事を知らないということを恥じ、やたらと強弁でごまかすようになる。しかし、人を言い負かしたり、自分に言いわけをしたりして、それで話が前に進んだからといって、問題そのものが真の意味で解決したわけではありません。それどころか、問題を隠蔽していることは、虫歯のように、どんどん事態を悪化させていっている。
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