「性格はいいのか?」-薫田真広
薫田真広
(ラグビー日本代表コーチ)
雪がちらほら舞う2月某日、屋外の秩父宮ラグビー場のスタンドで、ラグビー日本代表の薫田真広アシスタントコーチ(東芝)はこう、漏らした。エディー・ジョーンズヘッドコーチと共に日本ラグビーの再生を担う45歳。最初の仕事、日本代表選手の選考基準を聞かれた時である。
日本代表の凋落ははげしい。昨年のワールドカップ(W杯)ニュージーランド大会では1勝もできなかった。そこで「エディー&薫田新体制」が誕生した。つぎの2015年W杯の目標は「トップ10」、日本開催となる19年W杯では「ベスト8」を目標におく。
薫田は日本代表フッカーとして鳴らし、W杯には3大会も出場した。最大の屈辱が1995年W杯のNZ戦の大敗(17−145)だった。その時、主将を務めた。だから、今回の就任が「雪辱へのスタート」となる。
スパルタ指導で鳴る。「親に見せられない」ほどの厳しい練習で東芝を最強軍団に育て上げた。U20(20歳以下)日本代表、日本代表Aなど、各世代の代表チームの監督となっても、その手法は変わらなかった。
こだわりは、素材の選び方にある。「低さ」「はやさ」、そして「まじめさ」を大事にする。折れない。逃げない。ずるをしない、一貫性のある人間を丁寧に育てていく。ぶれのある選手は大嫌いである。
外国人の選考に関しても、まず「性格はいいのか」と聞く。「まじめさがないと強いチームはつくれない。外国人も、日本をなめていないことが条件だ。よくいるでしょ、日本人をなめているヤツが。自分の国だったら、絶対しないようなプレーを平気でするヤツが」と言うのである。
まじめであれば、石コロみたいな素材だって、磨き続ければ、いつかは宝石に変わる。まじめであれば、ファンの胸を打つこともできる。そう信じているのである。