「地区内残留地区」、どこにあるのか確認してみましょう。

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東日本大震災から1年が経ち、改めて一家で一時集合場所・避難場所等の確認をしたという家庭も多いかもしれない。
我が家でも防災地図をチェックしたのだが、そんなときふと目に留まったのが、「地区内残留地区」という文字だった。

見慣れない&聞き慣れない言葉だけど、これって何? 調べてみると、東京都都市整備局のHPにこんな説明があった。

「地区内残留地区は、地区の不燃化が進んでおり、万が一火災が発生しても、地区内に大規模な延焼火災の恐れがなく、広域的な避難を要しない区域として、平成20年2月現在で33ヵ所、約90k 指定しています」

つまり、「震災時に避難しなくて良い地域」ということらしいけど、ホントに避難しなくて良いの? いつから決められているの?……などなど、東京都都市整備局防災都市づくり課に聞いた。

「『地区内残留地区』という名前になったのは平成4年ですが、実は同じ性質のものはずいぶん前からありまして、昭和47年から『耐火建物内残留地区』という名前で、延焼の可能性が少ないところが定められています」

地区内残留地の基準は、以下だそう。
●面積65ヘクタール以上
●不燃領域が70%以上
●木造住宅が50棟以上連担しない

ところで、「地区内残留地区」の人は避難しなくて大丈夫なのだろうか。
「首都圏直下のときにいちばん怖いのは、建物の倒壊と火災です。避難場所に行く場合でも、歩いているときに倒壊に巻き込まれる危険があったり、火の粉がとんでくるリスクや、輻射熱で亡くなってしまうケースもあります。そうした場合、特に延焼の危険性がない地区においては、ヘタに避難場所に移動するよりも、むやみに外を歩かないほうが安全と考えられます」
地区内残留地区の調査は5年ごとに行われているが、官公庁などが多い千代田区は徐々に不燃化を進め、現在では全域が地区内残留地区に指定されているという。

それにしても、「地区内残留地区」という言葉も内容も、一般にあまり浸透していない感があるけれど……。
「該当するエリアが限られていることもあり、HPやパンフレットでアナウンスはしていますが、アクセスしないと知ってもらえないということはあります。また、『地区内残留地区』という名称もわかりにくいという指摘もあり、かつては『避難不要地区』と名乗ったときもあるのですが、それは直球すぎるため、『震災は起こってみないとわからないところもあるので、本当に避難が不要と言って良いのか』という意見もありまして。紆余曲折あって言葉の定着がないまま。アピール不足の面はありますね」
また、該当エリアについては、「道に線をひくわけにもいかないので、住居表示で知るか、電柱に書いてもらうとか、区の対応に委ねることになってしまいますが」とのこと。

現時点では「地区内残留地区」を設けているのは東京のみだが、政令指定都市などから相談を受けることはあるそうで、今後拡がりを見せる可能性はある。
また、これまでは津波の想定がされていなかったが、今検証中だそうで、早ければ24年度で反映される可能性もあるという。

3月11日は帰宅困難者の問題が出ていたけれど、それに限らず、いざというときの行動を今一度見直してみたい。
(田幸和歌子)