離婚した人や離婚を考えている人々が交流する「離活パーティ」
以前、コネタで「2月29日は“円満離婚の日”」という記事をお送りしたことがある。感情的に離婚へ突っ走るのではなく、“円満離婚の日”までじっくり冷静に考えてみる。もしくは、惰性で結婚生活を続けているご夫婦が“円満離婚の日”をきっかけにそれぞれの道を歩み出す。要するに「夫婦の絆を見直す」ための日として考えていただきたい“円満離婚の日”が、記念日協会より正式に認可されたというリポートであった。
そんな記念日当日である2月29日、ある催しが開催されました。その名も、婚活ならぬ「離活パーティ」! 参加条件は、離婚を考えている方か離婚経験者である。
「離婚をいかに円滑にできるかというパーティですが、もしかしたら婚活になるかもしれません」
とは離婚式のプランナーであり、“円満離婚の日”を申請した寺井広樹氏。
実は寺井さんは、昨年の秋より“離婚経験者”と“離婚を考えている人”との交流会「おりこんさまの会」を毎月末に開催しており、今回のイベントはその集大成。
「離婚をしようと思っても具体的な相談をできる人や場がないことに気付き、実施するようになりました」(寺井さん)
これは興味深いな……。そこで私もこのパーティ会場へ、その雰囲気を体験しに行ってきました。ちなみに会場は、東京都新宿区にある陽運寺(よううんじ)。参加費は3000円なのだが、2月29日に離婚した人は「離割(離婚割引)」で1500円に!
そして、今回の参加メンバー(計31人)について。これが、まぁ色とりどりで……。
・2月29日(パーティ当日)に、夫婦揃って離婚届を提出した男性
・元嫁からDVを受けて心臓停止になり、今もペースメーカーを埋め込んでいる男性
・離婚10周年で離婚式を挙げた女性
・御両親が離婚式を挙げた30代男性
・離婚式でブーケを受け取ったことが一つのきっかけとなり、離婚を考え始めた男性
……濃いな! 濃いよ。まさに、人生いろいろ。このようなメンバーで、宴はスタート!!
まずは、寺井さんによる「離活パーティ」の趣旨説明が行われ、その後には陽運寺の副住職から“許す”をテーマにしたお話が参加者に送られた。
「よく皆さん、“地獄”とか“天国”といった言葉を使いますよね。しかし、天国も地獄も亡くなった後に行く世界ではなく、全ては心の中にあります」(副住職)
お釈迦様は、人間の世界もあの世も隔たりはなく、全て心の善悪によるものだと説いているらしい。そして人間は、恨みつらみを言う“地獄の心”であったり、無償で人に尽くす“仏の心”になったり、コロコロと変わっていく。
「仏界に一番近づけるのは、“許す”という行動なんです。人を許し自分を許せば、必ずまた人を好きになれます」(副住職)
なぜ、今回この話を聞かせてくれたのか。寺井さんは離婚式を“癒しの場”でも“救いの場”でもなく、お互いを許しあう場だと考えているためである。深い話であった。
その次は、離婚経験のある75歳女性からのお話。色々と貴重な体験談を語っていただいたのだが、特に最後の言葉が非常に心に響くもので……。
「一人一人が自立している人間であれば、離婚は円満にいくと思います。甘えと依存で固まったご夫婦は、なかなか上手くいかないと思います」
離婚を新たな人生の船出にしていくには、お互いの強さが不可欠なのかもしれない。
そして最後のプログラムは、一人の女性シンガーによるメッセージソングである。実はこの方、生まれてすぐに両親が離婚し、今も行方知れずの母親に捨てられたという経験を持っているそうだ。そしてある日、ネットで「おりこんさまの会」の情報を知り「ウチのお母さんが、そこに来ていないですか?」と寺井さんにコンタクトしてきたという。
「今日は、離婚した両親の子供の立場から歌わせていただきたいと思います」(女性シンガー)
その言葉から披露されたのは、『遠くのあなたへ』という1曲。「ねえ、私の存在を後悔したでしょ? 一度くらい」、「もう一度会えた日には、たった一つ伝えよう。産んでくれてありがとう」という歌詞が、本当に心に沁みる。
「私自身はもう、両親が離婚したことに対して恨みは全然持っていなくて、表現する体をくれた事にありがとうを伝えたいなと思っています」(女性シンガー)
この方は「母親がどこか街角で、自分の曲を聴いてくれたらいいな」と思いながら、音楽活動を続けているそうだ。
他にも離婚した親を持つ男性からの話も聞け、この方は2年近く家庭内別居を続ける両親に「別れた方がいいんじゃないの」と自分から切り出したという。そして、今でも父母とは別々に交流を持っているそうだ。離婚はネガティブに取られがちだが、こういうケースもあるということを知っていただきたい。
「誤解してほしくないのですが、離婚を推奨しているのではなくて、改めて結婚・離婚の本質を考える機会になってもらいたいなと考えています」(寺井さん)
その趣旨は、今回のパーティに形となって表れていたと思う。文句なしに、素敵なイベントであった。
(寺西ジャジューカ)
「離婚をいかに円滑にできるかというパーティですが、もしかしたら婚活になるかもしれません」
とは離婚式のプランナーであり、“円満離婚の日”を申請した寺井広樹氏。
実は寺井さんは、昨年の秋より“離婚経験者”と“離婚を考えている人”との交流会「おりこんさまの会」を毎月末に開催しており、今回のイベントはその集大成。
「離婚をしようと思っても具体的な相談をできる人や場がないことに気付き、実施するようになりました」(寺井さん)
これは興味深いな……。そこで私もこのパーティ会場へ、その雰囲気を体験しに行ってきました。ちなみに会場は、東京都新宿区にある陽運寺(よううんじ)。参加費は3000円なのだが、2月29日に離婚した人は「離割(離婚割引)」で1500円に!
そして、今回の参加メンバー(計31人)について。これが、まぁ色とりどりで……。
・2月29日(パーティ当日)に、夫婦揃って離婚届を提出した男性
・元嫁からDVを受けて心臓停止になり、今もペースメーカーを埋め込んでいる男性
・離婚10周年で離婚式を挙げた女性
・御両親が離婚式を挙げた30代男性
・離婚式でブーケを受け取ったことが一つのきっかけとなり、離婚を考え始めた男性
……濃いな! 濃いよ。まさに、人生いろいろ。このようなメンバーで、宴はスタート!!
まずは、寺井さんによる「離活パーティ」の趣旨説明が行われ、その後には陽運寺の副住職から“許す”をテーマにしたお話が参加者に送られた。
「よく皆さん、“地獄”とか“天国”といった言葉を使いますよね。しかし、天国も地獄も亡くなった後に行く世界ではなく、全ては心の中にあります」(副住職)
お釈迦様は、人間の世界もあの世も隔たりはなく、全て心の善悪によるものだと説いているらしい。そして人間は、恨みつらみを言う“地獄の心”であったり、無償で人に尽くす“仏の心”になったり、コロコロと変わっていく。
「仏界に一番近づけるのは、“許す”という行動なんです。人を許し自分を許せば、必ずまた人を好きになれます」(副住職)
なぜ、今回この話を聞かせてくれたのか。寺井さんは離婚式を“癒しの場”でも“救いの場”でもなく、お互いを許しあう場だと考えているためである。深い話であった。
その次は、離婚経験のある75歳女性からのお話。色々と貴重な体験談を語っていただいたのだが、特に最後の言葉が非常に心に響くもので……。
「一人一人が自立している人間であれば、離婚は円満にいくと思います。甘えと依存で固まったご夫婦は、なかなか上手くいかないと思います」
離婚を新たな人生の船出にしていくには、お互いの強さが不可欠なのかもしれない。
そして最後のプログラムは、一人の女性シンガーによるメッセージソングである。実はこの方、生まれてすぐに両親が離婚し、今も行方知れずの母親に捨てられたという経験を持っているそうだ。そしてある日、ネットで「おりこんさまの会」の情報を知り「ウチのお母さんが、そこに来ていないですか?」と寺井さんにコンタクトしてきたという。
「今日は、離婚した両親の子供の立場から歌わせていただきたいと思います」(女性シンガー)
その言葉から披露されたのは、『遠くのあなたへ』という1曲。「ねえ、私の存在を後悔したでしょ? 一度くらい」、「もう一度会えた日には、たった一つ伝えよう。産んでくれてありがとう」という歌詞が、本当に心に沁みる。
「私自身はもう、両親が離婚したことに対して恨みは全然持っていなくて、表現する体をくれた事にありがとうを伝えたいなと思っています」(女性シンガー)
この方は「母親がどこか街角で、自分の曲を聴いてくれたらいいな」と思いながら、音楽活動を続けているそうだ。
他にも離婚した親を持つ男性からの話も聞け、この方は2年近く家庭内別居を続ける両親に「別れた方がいいんじゃないの」と自分から切り出したという。そして、今でも父母とは別々に交流を持っているそうだ。離婚はネガティブに取られがちだが、こういうケースもあるということを知っていただきたい。
「誤解してほしくないのですが、離婚を推奨しているのではなくて、改めて結婚・離婚の本質を考える機会になってもらいたいなと考えています」(寺井さん)
その趣旨は、今回のパーティに形となって表れていたと思う。文句なしに、素敵なイベントであった。
(寺西ジャジューカ)