２月24日に行なわれたアイスランド戦は、３対１の快勝に終わった。

今年最初のゲームということもあり、ザッケローニ監督は「勝ってスタートしよう」と選手たちを送り出した。とはいえ、ゲームの位置づけは“試運転”だったはずだ。
２月29日に控えるW杯最終予選のウズベキスタン戦へ向けて、シーズン開幕前の国内組が試合感覚を取り戻す機会である。決して強豪ではないアイスランドを迎えたのも、現在のコンディションで無理なく対応できる相手だからだ。

長身選手の多いウズベキスタンを想定したシミュレーションというのは、二次的な意味合いに過ぎない。日本のメンバーは、この２試合で間違いなく様変わりするのだから。

新戦力の発掘がテーマとも言われたが、選手たちはフィジカルコンディションが万全でない。無理をする時期でもないから、アピールするにも限度がある。新戦力を”発掘“するというよりは、練習を含めた取り組みのなかでチーム全体を”底上げ”するのが、ザックの狙いだったと読む。ウズベキスタン戦で使える選手を見定めるのではなく、もう少し先を見据えた強化のプロセスだ。

国内組にコンセプトを浸透させるためには、ウズベキスタン戦でも彼らを使ったほうがいい。W杯最終予選進出はすでに決まっており、選手のテストも許される状況にある。

その一方で、最終予選前に海外組を招集できるタイミングは、今回のウズベキスタン戦が最初で最後となる。国内外を問わず選手を招集できる貴重な機会となるだけに、29日ベストメンバーで臨みたいのがザックの本音だろう。そうしたことも踏まえると、アイスランド戦を受けたサプライズ的選出があるとは考えにくい。

流動的なポジションがあるとすれば、「３の左」だ。香川の合流が微妙で、清武は負傷している。原口は五輪予選に出場したばかりだ。となると、岡崎を左へスライドさせ、アイスランド戦で代表初ゴールをあげた藤本を右で起用するのが現実的な手当てか。

あるいは、試合途中からのジョーカーとして、石川を手元に置いておくのは面白い。アイスランド戦後には「アピールという意味では、まったくできませんでした」と本人は苦笑いを浮かべたが、チーム戦術への戸惑いはない。「自分のストロングポイントやこれまで求めてきたものを、そのまま出せばいいのかなと思います。スタイルを大きく変えずにできる」と話していた。経験のある選手だけに、海外組が加わったチームにもスムーズに溶け込めるはずだ。