勇気とバランス──ザックことアルベルト・ザッケローニ監督が、就任直後から選手に求めてきたものである。２月17日に発表された日本代表のメンバーは、他ならぬ彼が「勇気」を示すものとなった。

　24日のアイスランド戦は、国際Ａマッチデイではない。昨年末にスケジュールが発表された段階で、この試合は国内組で編成されることになっていた。

　勝敗を問われることのないこのゲームの注目は、誰がメンバー入りするのかに絞られる。我々の手元には、ふたつの参考資料があった。

　ひとつめは、アジアカップの予備登録メンバーだ。一昨年12月に発表されたもので、国内外の50選手がリストアップされている。ベテランでは中澤佑二や曽ケ端準が選ばれており、最年少は当時18歳の宇佐美貴史だった。若手、中堅、ベテランが網羅されているこのリストは、ザックのチームのベースとなっている。

　もうひとつは、昨年８月に札幌で行なわれたトレーニングキャンプのメンバーだ。アジアカップの予備登録メンバーに選ばれなかった増田誓志、ハーフナー・マイク、田中順也らが、このタイミングで招集されている。Ｊリーグでの活躍が反映されたものだ。

　ワールドカップ３次予選で負傷者が出ると、彼らは相次いで招集された。今回のように新たな選手の招集が濃厚な場合、過去のリストはひとつの手がかりになる。

　ザックは大きなサプライズを用意していた。アジアカップの予備登録メンバーにも、札幌のキャンプにも呼ばれていない選手が何人も名を連ねた。それはつまり、ザックが勇気ある決断を下したことになる。

　何よりの驚きは、磯村亮太、柴崎岳、久保裕也の招集だろう。20歳、19歳、18歳である。磯村と柴崎は、所属クラブで定位置獲得に至っていない。久保は昨シーズンのリーグ戦で10ゴールをあげたが、所属する京都はＪ２である。

　３人の潜在能力を疑うつもりはない。しかし、僕自身はザックの選考に違和感を覚える。日本代表というのは、所属クラブで結果を残した選手が選ばれる場所だと思う。代表チームの監督は好きな選手を選べるとしても、周囲が納得する選考基準はあるべきだ。

　そもそも、今回のメンバーはアイスランド戦限定だ。海外組が合流するウズベキスタン戦は、まったく違う顔ぶれになる。

　たった１試合のために、25名もの選手を選ぶ必要があったのか。サプライズ招集の３人を除いた22人で十分だ、と僕は思う。

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