そもそも、この橋下氏の学識者批判は1月3日のツイッターから始まった。最初の標的となったのは、同志社大学大学院教授の浜矩子氏だった。

〈浜とかいう大学教授のおばはんに、みんなのために働いてもらうために税金で橋下を養っているんだと言われたよ。あんた何様なんだ?〉

 事の発端は、昨年12月28日に放送された番組「キャスト」(朝日放送)で2人が共演したことだ。

 橋下氏のつぶやきによれば、自身が出演していなかった番組前半に、「(橋下氏は)自分だけ幸せを感じている人」と論評されたことをあとから知り、激高している。そして、つぶやきは徐々にエスカレートする。

〈あなたの紫色の髪の毛とその眉毛、そのために国民はあなたに税金を投入しているんじゃないですよ〉

 さすがに、この発言は妻にいさめられたとして、橋下氏はのちに撤回、謝罪している  ところが、橋下氏はしだいに批判の対象を広げていく。

〈暇で、時間があって、ギャラが安くて使い回しの効く文系大学教授がコメンテーターで好き勝手なことを言ってる。本来コメンテーターなんてその道のプロじゃないとできないはず〉

〈自分からは具体的な提案は何もできない。批判するだけ。政治や行政の経験も何もないのに政治や行政を偉そうに語る〉

 橋下氏の学識者批判の特徴は、深夜や早朝の短時間に、140字以内と決められたつぶやきを執拗に繰り返すことだ。そして、対象は違えど、批判の内容はほとんど同じ。簡単に言うと、以下のようになる。

“私立大学にも交付金という形で税金が投入されている。なのに、税金で養われている教授連中は人の批判ばかり。現場に来て、仕事をしてみろ”。

 同様の理屈でボロクソにけなされたのが、北海道大学大学院教授の山口二郎氏と同大学大学院准教授の中島岳志氏の2人だ。

 1月8日のつぶやきにはこう記されている。

〈税金で養われている北海道の中島とかいう教員はどうしようもない。「改革は一気にやるものではない。色が徐々に変わるようなグラデーション的にやるものだ」と(中略)は〜っ??だから??税金で勉強させてもらっていてこの程度のコメントか?〉

〈(中島氏の)師匠が山口とかいうこれまた税金で養われている役立たず。この人達は、単に僕のことが嫌いなだけ〉

 そして、〈改革の1つでもやってもらいたい〉と挑発。〈(中島氏に)大阪市の特別参与と言うポジションを与えるからさ〉とまで言った。そして、橋下氏は浜氏を含めた3人を〈日本三大役立たず教授だね〉とバッサリと斬ってしまう。

 罵倒された山口氏も黙っていられなかったのか。1月15日に放送された「報道ステーションSUNDAY」(テレビ朝日系)に出演し、橋下氏に論戦を挑んだ。

 前半こそ、「教育改革」で激論が戦わされた。しかし、最終的には橋下氏に、

「現場を知らないですね」

 と学者批判を展開されてしまう。

 山口氏はツイッターで、こうつぶやいている。

〈橋下を相手にテレビでしゃべるのは難儀なこと〉

“テレビ慣れ”の面では、やはり元タレント弁護士のほうが一枚上手のようだ。