ドイツW杯のアジア最終予選は、2005年2月9日の北朝鮮戦からスタートした。2試合目は3月25日のイラン戦だった。また、南アフリカ行きをかけた最終予選は、2008年9月6日のバーレーン戦で幕を開けた。第2戦は翌10月15日のウズベキスタン戦だった。

今回の最終予選は違う。6月3日に開幕すると、8・12日と10日間で3試合を消化する。序盤にしていきなり山場を迎えるのだ。

サッカー協会の原博実技術委員長は、「ここの3試合、スタートがもっとも大事だと思っているので、現場とも相談しながら色々なことを考えて、万全の態勢で臨みたい」と話す。

来年3月の組み合わせ抽選をまえに、6月の3連戦はホーム・ホーム・アウェイになることが決まっている。ホームで連勝し、アウェイでは引き分け以上の結果をつかみ、スタートダッシュを切りたい。世界のサッカー界はユーロ2012で盛り上がるタイミングだが、欧州の頂上決戦に目を移すのは12日以降となる。

続く第4戦は9月11日で、埼玉でのホームゲームだ。この試合に先立って、7日にはキリンチャレンジカップが開催される。8月にもキリンチャレンジカップが行なわれる。準備としては申し分ない。

11月14日の第5戦は、FIFAのカレンダーでフレンドリーマッチの扱いだ。海外組は直前の合流となる。しかもアウェイゲームである。コンディションが懸念されるが、時差や移動の負担はホームより軽減されるかもしれない。

すでに最終予選進出を決めている国のなかで、ヨーロッパからの移動がもっとも面倒なのはオーストラリアだ。しかし、最終予選の組み合わせ抽選は直近のFIFAランキングでシードが決まり、11年12月現在で日本がアジア1位、オーストラリアは同2位である。同じグループに入る可能性は、いまのところ低い。

同グループになる公算が大きいのは、イラン、イラク、ヨルダンらの西アジア勢、ウズベキスタンだ。ヨーロッパ発なら日本へ戻るより移動時間は短く、時差も少ない。欧州ベースの選手には、コンディションを整えやすいメリットがあるのだ。

2010年11月のタジキスタンとのアウェイゲームでは、ドーハ (カタール) で事前キャンプを行なった。最初に国内組がドーハ入りし、欧州組は段階的に合流してきた。欧州からつねに10人前後の選手が招集される現状に照らし合わせると、こうしたスケジュールが今後は増えていくだろう。

3月の組み合わせ抽選を待たずとも、ピッチに立つ前の準備が重要なのははっきりしている。技術委員会を含めたスタッフのプランニングは、ブラジル行きのカギになってくるだろう。