もう一度、あのバナーが見たい。
柏レイソルの準決勝進出で、クラブW杯が盛り上がりを見せている。クラシコでレアル・マドリーを撃破したバルセロナも到着し、ネイマール擁するサントスもいよいよ登場と、大会はここからクライマックスを迎える。

当たり前のように開幕を迎えたクラブW杯だが、東日本大震災を受けての開催はFIFAや各大陸連盟の協力なしに実現しなかったはずだ。

震災から2か月が経過した5月23日、FIFA (国際サッカー連盟) のブラッター会長が日本を訪れた。FIFA会長選挙を目前に控えての来日だった。
当時の管直人首相を表敬訪問したブラッターは、クラブW杯を「予定どおり行なう」と宣言した。表敬訪問を受けた管首相や文部化学大臣も、全面的な協力を約束した。

日本政府の保証を持ち帰ったブラッターは、FIFA理事会で開催に問題がないことを報告し、日本開催が改めて承認された。体操の世界選手権が10月に、バレーボールのW杯が11月に日本で開催されることも後押しになったとはいえ、ブラッターの来日が日本開催の決め手となったのは間違いない。超多忙なブラッターの来日にこぎつけた (日本滞在は1日だけだった) 小倉サッカー協会会長の手腕も、評価されるべきだろう。

当初300万ドルと発表されたFIFAからの復興支援金は、600万ドルにものぼる。1ドル80円換算で4億8千万円の資金は、宮城県松島市の『松島フットボールセンター』や、Jリーグのスタジアムの修復費用の一部に充てられた。

FIFAだけではない。UEFAらの各大陸連盟も、復興支援金を届けてくれている。
バルセロナの心遣いも嬉しい。13日に福島の子どもたちを練習に招待し、一緒に記念撮影をするという。時間にすればほんのわずかでも、子どもたちにとってはかけがえのない交流となるはずだ。

2011年の最後に行なわれるFIFAの国際大会で、しかもホスト国を任されたクラブW杯のフィナーレに、世界が示してくれた連帯への感謝の証として、クラブW杯でもう一度あのバナーが掲げられればと思う。U-17日本代表やなでしこジャパン、ビーチサッカー日本代表らが世界大会で伝えた『To Our Friends Around The World Thank You For Your Support』のメッセージを、再び全世界に発信したい。

※毎週金曜日配信のメールマガジンでは、サッカー小説「コラソン」や、昔の取材ノートから回想する「昔の現場・むかしのだいひょう」なども連載しています。こちらもお楽しみにください。