この紛争を、「そう、うるさいこと言わずに」「まあ、いいじゃないの」と笑って見ている人も多いと思う。確かに、オリンパスや大王製紙に比べれば額も微々たるものだし、パロディーの笑えるネーミングについて大真面目になって争っている絵も、それこそ“面白い”。しかし・・・。

吉本興業が「面白い恋人」の販売に当たって、「白い恋人」側と一切の協議をしていなかったと知って、かなりの違和感を覚えた。多くの人は、両者で話し合いがあって、ブランド使用料くらいは払っているものと思っていたのではないだろうか。でなければ、中国のひどい商標権侵害と何も変わらない。「白い恋人」側が、「商品名も『面』の字が入っているだけでほぼ同じ。パッケージも背景の色彩や、模様となっているリボンの形状、文字やイラストなどもそっくり。」と提訴の理由を発表しているが、誰が見てもその通りだろうと思う。

私自身、毎週新喜劇を楽しんでいるし、タレントさん達も大阪の人達に本当に愛されている。芸能に対する大きな功績は否定しようもなく、関西での企業としての存在感は立派なものである。一方で吉本興業は、これまでも経営をめぐる創業者一族との争いや、タレントと暴力団との関係など、様々なスキャンダルが報じられてきた。吉本は事実無根としており、大メディアもそういう報道は行わないが、テレビ局と持ちつ持たれつの関係にある以上それは当然で、週刊誌の内容も大きくはずしていないだろうとも思える。いずれにしても、今回の件も含めて、上場企業としてはその企業統治に疑問符をつけざるをえない。


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