日本サッカーの未来を左右する大一番と言ったら、少しばかり大げさだろうか。

しかしながら、ロンドン五輪予選の突破はこの世代の成長へと結びつき、ひいてはブラジルW杯を目ざす日本代表の底上げとなる。また、ロンドン五輪出場によって、次回のリオ五輪アジア予選でシード権を得ることができる。

ワールドカップより狭き門の五輪で、韓国やオーストラリアと戦わずに済むのは大きなアドバンテージだ。ロンドン五輪予選の突破は、五輪の連続出場へ確実につながっていくのである。

そうしたことを踏まえると、「大一番」という表現も大げさではない気がする。ともに2勝で迎えるシリア戦に勝利すれば、最終予選突破へ一歩踏み出すことができるからだ。

22日に行なわれたバーレーン戦では、現実的な試合運びで勝ち点3をあげた。デコボコの目立つピッチコンディションは、日本らしいパスサッカーとの相性が良くない。リスクを負わないプレーが優先されるのは妥当だ。そのうえで、リスタートから先制点をあげ、後半に追加点をあげた。アウェイゲームとしては申し分のない試合展開である。

シリア戦は立場が逆になる。日本がボールを握る時間帯は増える。0-0で試合が推移しても、精神的に焦れないことが大切だ。勝敗を左右する、ひとつ目のポイントである。少しでも慌てたり焦ったりした瞬間に、失点の危機が迫ってくる。

気になるのは攻撃のオプションだろうか。バーレーン戦と同じスタメンを想定すると、攻撃的な交代のカードは永井 (名古屋)、山崎 (磐田)、登里 (川崎F) の3枚になる。追いかける展開では彼らを送り込む必要性も生じるが、タイプがやや似通っているのだ。

バーレーン戦にボランチで先発した山本 (磐田) を、より攻撃的な位置に配するオプションもある。それにしても、攻撃に大きな変化を生み出すものではない。リードを守り切ったバーレーン戦とは異なる展開が予想されるなかで、関塚監督がどのような選手起用をするのかは注目に値する。こちらは二つ目のポイントだ。

三つ目のポイントにあげたいのが、ゲームの入り方である。6月のオーストラリア戦、8月のエジプト戦と、このチームは前半開始早々に失点を許している。過去の苦みは確実に教訓となっているものの、バーレーン戦も序盤は落ち着きに欠けていた。

アウェイのシリアが、いきなり攻勢を仕掛けてくるとは考えにくい。ただ、192センチの長身FWアマル・アルスマが先発出場してくると、相当な圧力を受けるだろう。シンプルなタテパスさえも厄介で、不用意にリスタートを与えるのも危険だ。ディフェンス陣に丁寧かつ厳しい対応が求められるのは、バーレーン戦と変わらない。

この試合の結果次第で、来年2月以降の3試合が持つ意味合いは大きく変わってくる。日本サッカーの未来をつないでいくためにも、勝ち点3をつかまなければならない。

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