本田圭佑が実戦復帰を果たした。
現地時間11月18日夜に行なわれたロシアプレミアリーグ第31節のルビン・カザン戦で、先発フル出場を果たしたのだ。

来シーズンからの秋春制移行へ向けて、2011-12シーズンのロシアリーグは二段階で開催されている。全16チームがホーム＆アウェイの総当たりで30試合を消化し、ひとまず順位を決定する。

そのうえで、上位8チームと下位8チームに分かれ、再びホーム＆アウェイの総当たりで14試合を消化していくのだ。上位リーグは来季のCLやELの出場権を、下位リーグはプレミアリーグ残留をかけて、後半戦に臨んでいくのである。

当初は前半戦終了後に約3か月の中断が予定されていたが、ロシア代表のユーロ2012出場を受けて、後半戦終了を早める必要性が生じた。このため、11月中に後半戦の2試合が組み込まれることになった。

リーグ戦が当初の予定どおりであれば、本田の復帰はおそらく11月22日のCL第5節だっただろう。いずれにせよ、リール戦をまえに実戦を経験できたのは、彼自身はもちろんチェスカ (CSKA) にとっても大きかったはずだ。次のホームゲームは、グループリーグ突破のために勝ち点3が欲しいゲームである。本田の存在は必要不可欠だ。

ルビン・カザン戦の本田は、4-2-3-1の「3の右」からスタートした。「3の中央」のロシア代表ジャゴエフと流動的にポジションを変えながら、1トップのドゥンビアを生かしつつ自らも相手ゴールへ迫る。

彼らしさが見られたのは28分だ。相手選手2人に挟まれ、プレッシャーを受けて態勢を崩されながらも身体の軸はブレない。数的不利の局面でも推進力を失わないキープ力が、相手のファウルを誘った。

直後のFKはわずかに左へ逸れたものの、フィーリングは悪くなかっただろう。41分には左サイドからのクロスに飛び込み、決定的なヘディングシュートも放っている。

本田不在時のチェスカは、攻撃の大部分を「個」に依存していた。ブラジル人FWのヴァグネル・ラヴと得点ランキング首位のドゥンビア、それにジャゴエフやトシッチらの仕掛けから、ほとんどのゴールと決定機が生まれていた。

コンビネーションによる崩しは少なく、タテに鋭いものの攻撃が一本調子になる傾向が見受けられた。変化に乏しく、攻撃に幅や奥行きが見られないのだが、ルビン・カザン戦は違った。

密集でもきっちりボールを収める本田が戻ってきたことにより、「個」と「個」のつながりが格段に深まっていた。背番号7の日本人MFに相手の注意を集まるので、周囲の選手が時間とスペースを享受できるメリットも生まれていた。

後半開始からはっきりと「3の中央」でプレーするようになったのも、本田を経由すると攻撃がスムーズに流れていくからだ。ユーロ予選でロシア代表の最多得点をマークしたジャゴエフと比較しても、チームへの貢献度は高い。

8月22日のスパルタク・モスクワ戦以来の公式戦出場だけに、手術をした膝がどのような反応を示すのかには注意が必要だろう。雪の舞うコンディションだっただけに、膝に負担がかかっていたかもしれない。ただ、この日のプレーから判断するかぎり、復活への第一歩は確実に踏み出されたと言える。

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