この国のサッカーに、ホームタウン・デシジョンはないのだろうか。そもそも、ホームタウン・デシジョンは必要とされていないのだろうか。

10月22日に行なわれた大宮対名古屋のJ1リーグで、どうにも首を傾げたくなるジャッジがあった。2-2で迎えた終盤に、名古屋にPKが与えられたのである。ホームの大宮のDF深谷が、名古屋のケネディに対する反則を取られたのだった。

ペナルティエリア内で明らかに倒したわけでもなければ、突き飛ばしたわけでもない。深谷がケネディの行く手を阻んだのは事実だとしても、ボールは大宮GK北野がキャッチしていた。ケネディはシュートには持ち込めなかった、と考えるのが妥当なシーンだった。

深谷が、大宮が、不運だったと言うつもりはない。僕個人の基準では首を傾げてしまうのだが、ルールブックに照らせば正当なPKなのかもしれない。問題はJリーグと世界に、とりわけJリーグとアジアに、判定基準の隔たりがあることだ。

1月のアジアカップで、日本はどのようなジャッジに遭遇したか。中東をひと括りにホームとした、ひどく偏りのあるホイッスルに直面した。選手の逞しさで優勝を勝ち取ることができたものの、Jリーグの基準では理解できないジャッジに、どれほど冷や汗をかかされたことだろう。

アジアのレフェリーはレベルが低い、と決めつけるのは簡単だ。しかし、世界へ出ていく過程では、アジアならではのジャッジは避けられない。Jリーグなら正当と見なされるプレーがファウルとなり、その逆もまたあるのがアジアである。

基準となるのは、ホームか、アウェイか。
ホームはアグレッシブでいい。攻撃も守備も獰猛でいい。その一方で、アウェイではデリケートな感覚を身につけなければ、いつかどこかで痛い目を見てしまう。痛い目を見てからでは遅いのだ。Jリーグを世界へつながる戦いの場所としたいのであれば、いつでも平等である必要はない。

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