9月21日に行われたU-22日本代表のマレーシア戦は、W杯3次予選の朝鮮民主主義人民共和国戦 (北朝鮮戦) のようだった。

北朝鮮戦の日本は66.1パーセントのボール支配率を記録し、シュート数でも20対5と圧倒した。マレーシア戦のU-22日本代表も、ボール支配率は67.8パーセントにのぼる。シュート数は26対2である。似通ったデータが残っている。

もっとも、試合内容にデータほどの共通点はない。ザッケローニ監督率いるチームは、じわじわと圧力をかけながら北朝鮮を追い詰めていった。自分たちの戦いに自信がなければ、後半ロスタイムにショートコーナーを仕掛けることはできなかっただろう。スコアは1-0だったが、北朝鮮との実力差を読み取ることはできた。

マレーシア戦のU-22日本は違った。課題だったゲームの入り方を修正し、10分に先制点をあげたのは理想的な展開と言っていい。ところが、時間の経過とともにペースは下降し、永井と山崎の投入で活性化ははかられたものの、後半は勢いが衰えてしまった。

この試合のU-22日本は、前半に得点シーンを含めて7度、後半は追加点を加えて3度の決定機を作り出している。初戦特有の緊張感や重圧を差し引いても、少しばかり物足りない印象を与えた理由がそこにある。
ところが、それぞれの決定機を振り返ると、相手守備陣を崩しきったシーンがそれほど多くないことに気づく。

ワールドカップなどの国際大会では、ペナルティエリア内からのダイレクトまたは2タッチのシュートから、数多くの得点が生まれている。昨夏の南アフリカW杯で最多20得点をあげたドイツは、16得点のうち15点がペナルティエリア内からで、ダイレクトシュートによるものが11本を数えた。

ひるがえってU-22日本はどうだったか。得点シーンを除いた8つの決定機を振り返ると、ダイレクトシュートはふたつしかない。15分に濱田が放ったヘディングシュートと、79分の清武のシュートである。その一方で、3タッチ以上を要した決定機が4つある。相手GKがファインセーブを連発したのは事実だが、そもそもシュートコースが限定されていたものが少なくなかったのだ。

また、26本のシュートのうち、およそ半分に相当する12本はペナルティエリア外からである。最終ラインと中盤が自陣深くにブロックを敷いてきたマレーシアの守備陣を崩すために、中長距離からのシュートは有効な手段となる。そのあたりを踏まえて、選手たちも積極的に打っていったのだろう。

しかし、ワクを捕らえなければ効果は半減する。果たして、序盤からミドルシュートを浴びても、マレーシアの守備陣は前へ出てこなかった。67.8パーセントのボールポゼッションも、数字ほどの実効性は伴っていなかった。

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