これがW杯予選の難しさだろうか。9月2日の朝鮮民主主義人民共和国 (北朝鮮) 戦に向けて合宿中の日本代表から、本田と中村憲が離脱した。当初発表されたメンバーから、森本を含めて3選手がW杯予選に出場できなくなったことになる。

いまさら言うまでもなく、本田は攻撃の核となる選手だ。中村憲は中盤を幅広くカバーする人材として期待されていた。前回大会の予選で、控え選手と先発のいずれの立場も経験していた中村憲は、チームを支える役割も担っていた。

「前回の予選はあくまでも過去の話。思い出すけれど、重要視はしていない。いまこのチームで、自分がどれだけできるか」と話しながら、「W杯予選は親善試合と雰囲気が違う。ひとつのミスが命取りになる」とも語っていた。真剣勝負の難しさを経験として知る、ベテランならではの言葉だった。

アジアカップや親善試合ではなく、W杯3次予選を目前に控えたタイミングで、本田を失う。代表復帰を果たしたばかりの中村憲も欠く。「なぜいま、このときに」という思いが沸き立つが、それこそはW杯予選の難しさなのかもしれない。

チームは冷静である。
「一番ツラいのは圭佑だと思う。アイツができないと言うのなら、相当に悪いのだろうし」と、キャプテンの長谷部は本田を気遣った。それでも、「チームに帰って来たときに、(本田の) ポジションがないぐらいの勢いでやりたい」と力強い。

吉田も前向きにとらえている。
「残念だけど、長いリーグ戦ではこういうこともある。ネガティブにとらえるのではなく、ポジティブに生かせるか。本田さんもポジティブにとらえていると話していたので」と語り、二人の離脱を「チーム全体で補っていかなければ」と続けた。

チームでもっとも経験豊富な遠藤は、「メンバーが変わっても、ガクッとチーム力が落ちないように、いい準備をしたい」と、落ち着いた口調で責任感を明かした。「彼らがいなくてもクオリティを落とさないことを、明後日の試合で証明したい」とも。

先の韓国戦と同じ4-2-3-1でスタートするのであれば、香川をトップ下へスライドし、岡崎を左へ、清武を右へ起用することで「3」の陣容は固まる。いつものように香川を左、岡崎を右で起用し、トップ下に柏木を置いてもいい。いくつかのバリエーションはあり、そのための準備もしてきている。8月10日の韓国戦で清武が出場したことが、ここにきて重みを持つ。「危機」といった表現を使うのは、少しばかり大げさだろう。

むしろ、本田や中村憲を欠いたなかで、どのようなサッカーをするのかは興味深い。ホームで白星スタートを切れるのか、も。チームとしての地力や胆力をはかるには、格好のシチュエーションが訪れたと言える。

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