W杯アジア3次予選の対戦国が、シリアからタジキスタンに変更された。スウェーデン代表歴のある選手を出場させたことから、FIFAが予選からの除外処分を課したという。このため、2次予選でシリアに敗れていたタジキスタンが、繰り上げ出場することになった。

アサド政権による市民への弾圧が激化するシリアは、そもそもホームゲームの開催が危ぶまれていた。代替国がどこになるのかによって、事前の準備は変わってくる。不安定な政情に振り回されなくなったのは、日本にとって好材料と言える。

とはいえ、有利なことばかりではない。タジキスタンとは10月13日にホームで、11月11日にアウェイで対戦する。10月13日のホームは連戦でないので、万全の準備で迎え撃つことができる。

気になるのはアウェイゲームだ。11日にタジキスタンと、15日に北朝鮮と対戦するアウェイ2連発のスケジュールは、対戦相手が変わってもそのままである。

日本代表がどのような準備をするのかにもよるが、ヨーロッパ組はタジキスタンよりシリアのほうが時差は少ない。ドバイ (UAE) やドーハ (カタール) などハブ空港のある中東のほうが、スムーズな移動が可能ではないかという推測も成り立つ。

いずれにしても、海外組と国内組は、時差と移動の影響が異なるなかで合流する。体内時計がズレているのだ。選手たちのフィジカルコンディションを、短時間で整えるのは簡単でないだろう。

タジキスタンの環境も未知数だ。若年層も含めて、代表チームが現地入りするのは今回が初めてとなる。ピッチに立つまでの準備段階は、シリアより緻密さが求められるようになったと言っていいぐらいだ。

北朝鮮戦の難しさも変わらない。シリアから移動するよりもいくぶん早く現地入りできそうだが、中3日で臨むこのゲームもコンディション調整が大きなテーマとなる。

日本が力を発揮すれば、3次予選突破は揺るぎない。だが、アウェイゲームには、力を出し切ることを阻害する要因が付きまとう。6月に行われたロンドン五輪2次予選も、あわや敗退というところまで追い詰められた。シリアよりFIFAランキングが下のタジキスタンが同グループになったからといって、3次予選の戦いが楽になるなどと考えるのは短絡的である。

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