いつの間にか西へ移動した節電問題【デジ通】

節電問題は、ついに東日本の「専売特許」ではなく、全国的な問題になってきた。菅首相が「脱原発」を表明したから？　いやいや、「個人的見解」などではない。とくに関西の場合、長年の原発政策のツケが襲ってきたというべきなのだ。この解決の鍵を握るのは、やはりあの……

■節電の「西方移動」進行中！
先日、大阪に住んでいる友人が東京に遊びに来た際、「東京は駅が暗いね」と言った。数年前まで東京に住んでいただけに、よけいにそう感じたのだろう。軽くおちょくるような口調だったが、今や、彼も笑っていられる状況ではない。

関西電力の森会長は７月１日、節電要請を行ったものの、今夏を「乗り切れる」見通しを語っている。その矢先、福井県の大飯原子力発電所１号機が停止したのだから、早速、目算が狂った格好だ。しかも、「節電要請」に強制力はない。東京電力管内で行われている、罰則付きの電力制限令とは違うのである。さらに火力発電所のトラブルが重なれば、電力需要は実に危ういことになる。夏の甲子園の開催も、容易ならざることになりかねない。

これに対して、東京電力管内は、企業の土日操業などで節電の風潮がいあかり行き渡ったこと、さらに以前の記事にあるような火力発電所の復旧もあり、今夏の電力需要は賄えそうな状況となっている。

■関電の「原発依存」「福井依存」がアダに
関西電力は発電量の約45％以上を原発に依存している。この数値は、東京電力と比べてさえ非常に高い。全11基の原発中、すでに４基が停止しており、７月下旬に２基、11、12月に３基、来年２月にもう１基が定期検査に入る。こうなれば、残るは「１基のみ」となる。

おまけに、関電の原発はすべて福井県にある。美浜３基、大飯４基、高浜４基。このご時世、県や住民の同意なしの再稼働は不可能。その福井県の西川知事は、国が原発の暫定的な安全基準を示せない限り「運転再開は認められない」という姿勢である。

ここに、大飯１号機の緊急停止が起きたわけだ。まさに、「原発依存」「福井依存」がアダになった格好だ。政府が予定するストレステスト（耐性調査）もあり、原発の再稼働は簡単ではない。このままでは、関電管内でも電力制限令が発動されかねない状況である。

■カギは阪神にあり？
こうなると、カギは阪神タイガースの成績にありそうだ。阪神は現在セリーグ３位だが、優勝すると、その経済効果は関西圏を中心に最大6000億円以上にもなるという人気は健在だ。真夏の時期は、本拠地の甲子園を離れる「死のロード」がある阪神、勝ち続ければ、虎党は飲み屋で怪気炎を上げよう。当然、テレビ放送の視聴率は上がるし、電力消費量は伸びる。

まさか、関電は電力を賄うために「ダメ虎復活」を願いはしないだろうが…。

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大島克彦＠katsuosh［digi2（デジ通）］

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