いよいよテレビ放送の「アナログ停波」は迫り、Facebookではアナログ放送が終了する瞬間を見る会なるイベントまで企画されている。それにしても、自分の周辺のさまざまなケースに遭遇するにつれ、アナログ停波(デジタル完全移行)が、およそ素人(とくに高齢者)には理解しがたい問題であることが分かるのだ。

■「デジアナ変換」を知らずにテレビを買い替え
一つは、CATVによる「デジアナ変換」を知らない人が多いということである。digi2の記事でもふれているが、「デジアナ変換」をサポートするCATVに加入していれば、アナログテレビは2015年3月まで使い続けることができる。

知人が経営する会社は、入居するビルごとCATVに加入しており、「デジアナ転換」も行われる。だが、知人はそれを知らず、会社内のテレビを買い替えた。中古をオークションで買ったとはいえ、日頃かコストダウンに懸命な彼としては、「デジアナ変換」を知らなかったことは「後悔のきわみ」のようである。「なぜもっと早く教えてくれなかったのか!」と逆恨みされてしまった。

CATVに加入していて、まだアナログテレビを使っている人は、「デジアナ変換」の有無をCATV局のサイトで確認しよう。このサービスが行われるなら、テレビの買い換えを急ぐ必要はない。

■BSデジタルは未サポート
先述した知人は、BS放送をよく視聴していた。そのため、落札したテレビはBSデジタルチューナー付きの製品だったのだが、なぜかこの会社では映らない。むろん、BSアナログ放送は受信できている。

調べた結果、ビル内の基地から各入居事務所に配線されている同軸ケーブルが、BSデジタル放送を伝送できない周波数のものであることが判明した。すでにBSアナログ放送が見られるので、自動的に「BSデジタルも見られるだろう」と思ったのは早合点だった。事務所に配線されている同軸ケーブルは、1336MHzの「BSアナログまで対応」のものだったのである。

しかも、加入CATV局がサポートする「デジアナ変換」は地上波のみでBS放送は対象外なので、彼の事務所ではBSデジタルを見られなくなってしまう。BSアナログ放送も、7月24日で停波になるからだ。

■BSデジタルを断念
むろん、ビル内のテレビ放送用同軸ケーブルを交換すれば、BSデジタル放送を視聴することは可能である。このような場合、BSデジタル対応の同軸ケーブル(2150MHz以上)に交換することが望ましい。しかし、そのためには大家との交渉が必要だし、経費負担も避けがたい。「コストカッター」の知人としては、やはり断念する方を選択せざるを得ないようだ。

それにしても、一般人は同軸ケーブルに複数の種類があることなど知るはずもない。同軸ケーブルの種類はパッと見では判別しにくいし、この違いでデジタル放送の伝送の可否が分かれるなど、知らない人がほとんどだろう。

アナログ停波は、このように、さまざまな問題を引き起こしつつ、今や「秒読み段階」となっているのである。

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大島克彦@katsuosh[digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。

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