6月19日に行なわれたロンドン五輪アジア2次予選は、3-1という結果に終わった。決定機の数からすれば、3点では物足りない。第2戦へ向けた相手の戦意を、根こそぎ奪い取ることもできた試合だ。1点を許すなら、リードを3点に拡げたかった。

ホーム＆アウェイの一発勝負というレギュレーションのためか、試合後のミックスゾーンでは「失った1点の意味」を問う質問が多かった。0-2で負けたらジ・エンドで、早い時間帯に失点したらそれだって有り得ない話ではない──アドバンテージをつかんでもなお最悪のシナリオを思い描くのは、日本人特有かもしれない。

第1戦と第2戦は、まったく違うゲームになる。クウェートはキックオフ直後から攻めてくるはずで、日本はいつものようなサッカーができないだろう。至るところがデコボコのモハメド・アルハマド・スタジアムは、パスをつなぐサッカーとの相性が良くない。ドリブルも難しい。中東勢が得意とするロングボールの応酬も、視野に入れておく必要がある。

暑さも無視できない。日中は40度を越えるという気象条件を聞いて、選手たちは苦笑いを浮かべるしかなかった。どのようなコンディションで試合を迎えられるのかは、現地入りするまで分からない。

複数の不安材料はすぐに揃うものの、前向きな要素だって同じくらいある。両チーム無得点のまま、あるいは1-1や2-2の同点などで時間が進んでいけば、慌てるのはクウェートである。失点のリスクを背負ってでも、攻撃に出ていかざるを得ない。日本からすれば、カウンターを取りやすい状況が生まれる。スピード豊かな前線のタレントが輝ける。

早い時間帯に失点すると戦況は危うくなるが、先制すれば一気に最終予選へ近づくことができる。中東勢はメンタルに波がある。試合中に集中を切らすこともしばしばだ。トータルスコアが4-1になれば、その時点で勝敗が決することも考えられる。

自分たちのミスが招いたホームでの失点には、チームを引き締める効果だってある。敵地のスタジアムを、すでに経験しているのも大きい。ピッチコンディションへの迷いはないから、試合の入り方に戸惑うこともないはずである。

そういう意味では、3-1で前半（第一戦）を折り返したのは悪くない。ひとまず及第点といったところである。日本の戦いぶりが注目される23日の深夜だが、その他の対戦カードも気になる。なかでも僕が注視するのは、オマーン対中国戦だ。

最終予選の組み合わせ抽選がこれまで同様のランク付けだとしたら、08年の北京五輪に出場した国が第1シードとなる。ここで問題なのは、北京五輪には中国がホストカントリーとして出場しており、アジアから合計4か国が出場したことだ。オーストラリア、韓国、中国、そして日本である。

では、第1シードから外れるのはどこか。アジア勢はすべてグループステージで敗退したが、韓国は1勝1分け1敗で勝ち点4を獲得した。オーストラリアと中国も、勝利は逃したものの勝ち点1をつかんだ。3戦全敗に終わったのは、日本だけなのである。

前回大会の出場国が最終予選で顔を揃えたら、日本は第2シードへ滑り落ちてしまう可能性が出てくる。おそらくはそうなるだろう。韓国やオーストラリアと、首位通過をかけて争うかもしれないのだ。

第1シードになったところで、残り3か国が中東勢で占められれば、それもまた厄介ではある。最終予選にイージーな組み合わせなど存在しない。それでも、勝負のかかる最終戦をホームで戦えるといった、第1シードの恩恵はある。

中国対オマーンの第1戦は、アウェイのオマーンが0-1で勝利を収めた。「オマーンは自信を深めたかもしれないが、2試合目の早い時間に追いつけば、状況ははっきりと変わってくる。我々にはまだチャンスはある」

中国のミロスラブ・ブラゼビッチ監督は、第2戦での逆転を信じる。かつてクロアチアをＷ杯で3位に導いた指揮官の言葉も、今回ばかりは思い違いであってほしいのだが。

※日本の戦いぶりには、今週金曜日 (6/24) 配信分のメールマガジンで触れます。

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