はじめに、東北関東大震災で多くの命が失われたことに謹んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りいたします。同時に、被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。

いったい何を書くべきなのか、いまもまだ頭のなかを整理できずにいる。ついさきほども、飼い犬がいきなり身を翻した。その直後に、余震が襲ってきた。

サッカーとともに生活をしているような僕には、毎週末のスケジュールからＪリーグの取材が抜け落ちたことが、震災の大きさを何よりも痛感させる。もちろん、この状況でリーグ戦など開催できるはずはなく、震災発生後すぐにＪリーグが中止を決定したのは、迅速で的確な判断だったと思う。ひとまず今月いっぱいまでリーグ戦を開催しないことになったのも、その後の被害状況の拡大を踏まえれば当然である。４月以降についても、慎重な判断が求められるだろう。

今月末のキリンチャレンジカップも、二転三転の末に中止という判断に至った。「いまこの時期だからこそ、開催する意味がある」という意見に頷くことができる一方で、大量の電力を消費するナイターが社会情勢にそぐわないのも事実である。被災地の方々に勇気を届けたいという思いで試合が行なわれても、ライフラインが復旧しなければテレビを観ることすらままならない。

余震が絶えない状況下では、スタジアムに集まる観客の安全確保にも不安が残る。そうした状況を勘案すると、代表戦の中止は不可避だったと思う。

キリンチャレンジカップは取りやめとなったが、３月29日にチャリティーマッチが行なわれることになった。こちらも時期尚早という声はあったはずである。ただ、すべての人の理解を得られる最適解は、いまこの現時点で見出せない。反対意見にも耳を傾けたうえでの決断と理解し、チャリティーマッチに賛同する。

対戦相手に打診していたニュージーランドは、安全性への危惧から来日を中止した。彼らの心情も十分に理解できるから、非難などできるはずもない。

日本代表対Ｊリーグ選抜（仮称）というカードに着地したのは、むしろ良かったのではないだろうか。今回のゲームばかりは、代表チームの強化が目的ではない。被災地の復興支援が、何よりも最優先される。すでにクラブレベルで様々な支援の形が見えてきているが、自分も何かを力になりたいと考えるＪリーガーは少なくないだろう。サッカー界全体で被災地を勇気づける意味でも、対戦相手がＪリーグ選抜になったのは良かったと僕は思う。地域密着と地域貢献をうたい、「国民の心身の健全な発達に寄与」したいとするＪリーグの理念にも通ずる。

日本人が手を取り合い、日本のために行動を起こすことに、大きな意義があるはずだ。

そしてもうひとつ、こうした支援を継続的に行なっていきたい。テレビや新聞などによる報道がやがて落ち着いたとしても、震災の傷跡が消えるわけではない。むしろ、そこから先も震災直後と同じくらいに大変だと思う。
いまこの瞬間に感じている被災地の痛みを、決して忘れてはいけない。テレビの画面を見つめながら、そう胸に刻んでいる。

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