先のアジアカップで、アルベルト・ザッケローニ監督は「日本は若いチームだ」と繰り返し語った。「ひょっとしたら、参加国のなかで一番若いのでは」とも話していた。

中村憲剛や阿部勇樹のような計算できる選手を招集せず、国際Ａマッチ出場数の少ない選手が数多く含まれていた意味で、アジアカップのチームには「若い」との表現が当てはまるかもしれない。

とはいえ、フル代表の経験が浅い選手も、Ｊリーグではすでに実績を積んでいる。年代別代表の経験者も少数派ではない。

「１年が経ってメンバーの変更があったが、これはノーマルな範囲のものだ。去年のドイツ・ワールドカップに出ていない選手も、国際試合をするのに十分な経験は持っている」
07年のアジアカップでチームを率いたイビチャ・オシム元監督は、大会期間中にこんな話をしていた。オシムの見立ては、今回のチームにも当てはまる。

大会期間中に27歳の誕生日を迎えた長谷部誠がキャプテンを務めたように、コアメンバーの年齢はやや下がった。４年前は31歳の川口能活がキャプテンで、29歳の中村俊輔と中澤佑二、28歳の高原直泰らがセンターラインを築いた。

しかしながら、参加16か国の平均年齢を調べると、日本は６番目に若いチームである。槙野（23歳）と酒井（19歳）がケガなく参加していれば５位に浮上するが、「参加国でもっとも若いチーム」ではなかった。

ドイツ・ワールドカップの代表がいまなお主力を担うオーストラリアは、参加16か国のなかでもっとも平均年齢が高かった。27・56歳である。世代交代で遅れを取っている印象を与えがちだが、若年層が世界を経験している。09年のU−20ワールドカップに出場し、今年はU−17とU−20が揃ってワールドカップの舞台に立つ。

「若い選手たちは着実に育っているから、オーストラリアサッカーの未来は明るいと思う。僕ら経験のある選手たちも、まだまだ国際舞台でできるとは思うけどね。自国開催する４年後のアジアカップは、さすがに分からないけれど」

先のアジアカップ終了後、ルーカス・ニールはこう言って笑顔を浮かべた。マクシム・シャツキフが10年以上も得点源を担ってきたウズベキスタンも、09年のU−20ワールドカップ、今年のU−17ワールドカップと、若年層で成果をあげつつある。

ＵＡＥも警戒すべき存在だ。09年にU−17、U−20のワールドカップに同時出場し、U−17はベスト16、U−20はベスト８進出を果たしている。こうした大会の経験者がフル代表へ吸い上げられており、アジアカップの平均年齢はイラクに次いで２番目に若かった。

ロンドン五輪予選に、ＵＡＥは１次予選から出場している。このため、アジア大会で金メダルを争ったＵＡＥと、ホーム＆アウェイの２次予選で対戦する可能性もある。イラン、クウェートといった国も１次予選から出場するだけに、２次予選でいきなりタフな戦いを強いられるのは想定の範囲内だ。

南アフリカ・ワールドカップをきっかけとして、スムーズな世代交代がはかられたのは間違いない。続々と海外へ飛び出している北京世代の台頭は頼もしい。ただ、２０１４年のブラジルを見据えているのは、日本だけではないのである。

参考資料）アジアカップ出場16か国の平均年齢（上位５か国）
１位）イラク／23・78歳
２位）ＵＡＥ／23・86歳
３位）カタール／24・21歳
４位）中国／24・70歳
５位）韓国／24・95歳

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