日本版「ダ・ヴィンチ・コード」の誕生!

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 半導体メーカーのインテルが出版社のマガジンハウスとコラボした『あなたを作家にするプロジェクト』はWeb上に投稿された小説や写真集のなかから優秀な作品を選び、マガジンハウスから実際に出版するというキャンペーンです。
 全く新しいタイプの新人文学賞とあって、募集期間内(2010年3月〜9月)に、実に8442点もの応募がありました。
 そして、数多くの応募の中から最優秀作品に選ばれたのが、今回紹介する『マリアの涙』(ピーター・シャビエル/著)です。

 ストーリーは、高校生の藤原道生が、通りがかった教会の聖母マリア像の前で奇妙なメダルを拾うところから始まります。その後、新進気鋭の画家・作家へと成長し、聖母マリアをモチーフにした作品制作で世に名前を知られることになった道生は、「聖母マリア美術館」落成記念に、ミケランジェロのピエタ像(死んで十字架から降ろされたキリストを抱く母マリアの像)のレプリカを制作し、絶賛を浴びます。

 しかし、そのわずか2年後、何者かの手によってその像のマリアの顔がひどく傷つけられ、その犯人を赦す意味合いで制作を開始したオリジナルのピエタ像の完成間近で「申し訳ありません。私にはできません」という短い遺書をのこし、道生は謎の死を遂げます。

 ピエタ像破壊の目的、ピエタ像のマリアが涙を流す理由など、残された謎の数々がその後に登場する人物やさまざまな事件によって解き明かされていく展開は圧巻。本作はキリスト教の世界観がベースとなっていますが、宗教が人の心や行動に与える作用を、宗教に詳しくない人にもよくわかるように表現している作者の筆力も確かです。

 サスペンスとして、ファンタジーとして楽しむことができ、またキリスト教史も頭に入ってくる本作は、普段文学作品を読むことの少ない人でも楽しめるはずです。
(新刊JP編集部/山田洋介)


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