【戸塚啓コラム】ノルマは3位以内
今回は違う。選手のコンディションや試合勘にバラつきがあるうえ、全体でトレーニングできる回数はきわめて限定的だ。ザックの就任からわずか２試合のテストマッチで本番を迎える今回は、大会前の準備で過去３大会と大きな開きがある。「合宿からすべての選手が揃っていたら、いい準備ができたのだが」と、イタリア人指揮官も苦しい胸中を明かした。
最終ラインの安定感は、試合運びに直結する。サイドバックやボランチが、後ろが気になって攻撃に加われない状況は避けなければならない。
センターバックの候補者は、今野、吉田、岩政、伊野波、槙野の５人である。直近の実績では、原監督代行が指揮したグアテマラ戦でコンビを組んだ岩政と槙野という選択肢が浮上する。センターバック同士のコンビネーションを重視するなら、鹿島の僚友である岩政と伊野波のコンビが先行する。若手に経験値アップに力点を置けば、「槙野＋吉田」のコンビがふさわしいだろうか。
ザックは今野＋吉田を選ぶと推測する。今野はすでにチームのコンセプトに触れており、吉田は合宿初日から参加できる数少ない選手のひとりだ。大会を勝ち抜くという現実性を重視すると、彼らの組み合わせに行き着くと思う。
好材料があるとすれば、グループリーグの対戦順だ。ヨルダン、シリアとの２試合で最終ラインのコンビネーションを深め、グループ内最大の敵にして優勝候補の一角にあげられるサウジ戦に挑むのだ。
先のアジア大会で金メダルを獲得したU−21日本代表は、試合を重ねるごとにチーム力を高めていった。
彼らの成功を振り返れば、準備時間の短さは理由にできない。原技術委員長は明確なノルマを公言していないが、次回大会のシードを獲得できる３位以内を逃してはならない。
【関連記事】
・スキを見せなかったインテル
・非ポゼッションの方法論
・バルセロナ、その強さの裏にあるもの
・２強撃破の原動力となった永井謙佑
・結果優先は正しい
関連情報（BiZ PAGE＋）
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している
