「女も食するスイーツといふものを、男もしてみむとてするなり」と紀貫之の土佐日記さながらに、今日、仕事帰りの男性がコンビニでスイーツを購入していく姿は珍しくない。一方、オヤジの牙城であったロードサイドの紳士服チェーンの店内でも、若者の姿が散見されるようになり、あまつさえ妙齢の女子フレッシャーの姿さえある。


 上記のような客層拡大が変化の第一弾とすると、さらなる第二の変化が起きている。取扱商品のうち「チョイ高」というアッパーミドルクラス価格帯の商品が登場し、売れ筋になっているのだ。一体どういうことなのだろうか。

 コンビニスイーツの流行と男子ファンの増殖の理由はさほど不思議ではない。
 まぁ、簡単にいえば、不景気でいろいろなコトに疲れたココロを癒すには、甘味が一番であり、スイーツなどというオシャレな言葉も誕生した。さりとて、たまのハレの日でもなければ高級店での購入はままならない。一方、コンビニ各社はタスポ効果に沸く頃から、翌年の反動は目に見えていた。代替となる稼ぎ頭が欲しい。そこでスイーツブームに目を付けたわけだ。
 専門店だと敷居が高いがコンビニなら購入のハードルも低い。男も買える。海外ではカフェやレストランで豪快にケーキを食する男性をいくらでも目にすることができるし、日本男子はアルコール離れだの草食化だのといわれる今日、食べない理由がない。そして、ケの日(日常)需要や男性需要を巡り各社は商品開発にしのぎを削り、市場が形成されたのである。

 紳士服チェーンの若年層と女性顧客増加もさほど難しい話ではない。
 その動きが顕在化しはじめたのは、従来ロードサイドにあった店が都市部・街ナカに進出してきた頃からだ。ロードサイド時代は沿道にのぼりを立て、新聞チラシを大量にばらまき、店内にはダサイ音楽がかかっているというオヤジの巣窟のような存在として昔は若者の目には映っていたことだろう。

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