世界最速を目指す次世代スパコン！ 富士通「京」を出荷開始

「2位じゃダメなんですか？」。仕分けられそうになった日本のスーパーコンピューターの新世代モデルが走り出した。富士通は2010年9月28日、理化学研究所と共同で開発・製造した次世代スーパーコンピューター（愛称「京」）の出荷を開始した。まずは兵庫県神戸市の理化学研究所 計算科学研究機構に納入され、2012年秋の共用開始を目指す。
「京」は8万個以上の富士通が製造したCPU「SPARC64 TMVIIIfx」（8コア、128ギガフロップス）を搭載し、総メモリー量は1ペタバイト以上となっている。目標は10ペタフロップスで、現在トップクラスのスーパーコンピューターの1桁上を行く。
※フロップスは、1秒間に実行可能な浮動小数点演算の回数をあらわす。1ペタは10の15乗

富士通は、文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ（HPCI）の構築」計画のもと、理化学研究所様と共同で「次世代スーパーコンピュータ」の開発を進めてきた。今回、理化学研究所への設置と調整を行い、世界最高水準を目指とともに、国内のスーパーコンピューターをネットワークで結び、データの共有や共同分析ができるように環境を構築して行くとしている。

メインフレームの高信頼性を継承した「SPARC64 VIIIfx」は1CPUあたり128ギガフロップスの計算能力を持つうえ、1ワットあたり2.2ギガフロップスという低消費電力を実現している。さらに8万個以上のCPUを接続するネットワーク（インターコネクト）として、6次元メッシュ/トーラスを開発。複数の処理をプロセッサーに柔軟に割り当てられ、もし一部が故障してもその箇所を回避して処理が継続できる。発熱に対しては水冷冷却方式を採用し、故障率を下げている。

技術立国を目指す日本にとって、次世代コンピューターの開発、整備が、科学技術、学術研究、産業などの広い範囲で世界をリードすることにつながると期待できそうだ。

■主な特徴
・高性能・高信頼と低消費電力のCPU「SPARC64 VIIIfx」を搭載
・革新的なインターコネクト技術と高密度実装技術を採用

■富士通

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