北沢防衛相は、「事業仕分け」で海外調達などによる自衛隊の制服購入費の縮減を求められたことについて、「軍服を海外に依存するなんて話は世界中で聞いたことがない。その国と危険な状態になったら、おんぼろ服で事に臨むのか」と批判しました。

この発言には、企業で調達をめぐる誤った議論と重なる部分が多くありますので、北沢防衛相の発言を他山の石とするために、その誤りについて、確認していきます。

■ 国内メーカでも海外生産、海外調達は進む

北沢防衛相の発言は、制服の流出防止、愛国心高揚、内需拡大といった観点からのものと思われますが、国内アパレルメーカも縫製工場は海外自社ないしは協力工場の活用が進んでいます。

源流にまで遡って、原材料、縫製工程をすべて国産とするを取引条件としても制服の流出は防げません。何らかのチェック体制が必要です。チェック体制を設けるのであれば、海外調達を行っても、制服の流出は防げます。制服の重要性を考えれば、国内企業だからチェック体制を緩める事ができるというのは、能天気な発想です。

■ 制服よりも大事なものを海外調達している

2005年から2008年で防衛装備品に占める海外調達品の割合は8〜12%です。その品目は、航空機、艦載滞空戦闘システムのイージスシステム、潜水艦アンテナなどの通信電子器材、武器などが主要品目となります。

自衛隊の目的遂行を考えた場合に、どちらが重要かを考えると、上記の品目の方が重要ではないでしょうか。やるべき事ではなく、できるものだけをやるというのは都合のよい議論です。

■ 軍服を輸入している国は多い


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