プレミアリーグのチェルシーが大幅なコストカットに取り組んでいる。2006年6月期の決算で発表された純損益は、8020万ポンド(約186億円)の赤字。これで、前年に比べ42.9%の赤字削減に成功した結果となり、2009-10シーズンまでには、赤字体質の解消を目指す。

 2004-05シーズンに記録した1億4000万ポンド(約326億円)から、約6000万ポンド(約140億円)もの赤字減少に成功したチェルシー。今回発表された赤字額は、2003年にロシア人オーナーのロマン・アブラモビッチがクラブを買収して以来、最も低い水準となった。これについて、チェルシーの最高経営責任者を務めるピーター・ケニオンは、クラブの体質改善が着実に進んでいるとアピールする。

 「今回の結果は、クラブの経営が正しい方向に進んでいる証拠だ。さらに言えば、今回の決算には、アディダスとの契約金額が計上されていない。つまり、クラブの損益は、今後も好転を続けるというわけだ。我々は昨年、いくつか痛みの伴う決断を下した。それも、長期的なビジネスモデルを作り上げるためだ。今回の結果で、その判断が正しかったことが証明された。スポンサーやテレビ放映権など、収入は毎年増加の一途にある。もちろん、ピッチ上でも素晴らしい結果を残している。クラブの発展はこれからも続くだろう」

 海外マーケット進出にも積極的なチェルシーは、北米や中国での営業活動に力を入れている反面、1月の移籍マーケットでは戦力補強を行なわず、コストカットに専念。補強に対するアプローチについて、ジョゼ・モウリーニョ監督と対立関係にあるとも噂されるチェルシー首脳陣だが、ビジネスの論理でクラブ戦略を進める姿勢は崩さない。今後、現場レベルと意志の疎通が図れれば、チェルシーが世界最強の高収益クラブに生まれ変わる日も近いのかもしれない。