アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は、プレミア王者チェルシーを「まだまだ未熟」と評し、「世界一クラブへの道のりは厳しい」と語った。

 もはや名実ともに、欧州ビッグクラブの仲間入りを果たしたチェルシー。その野望は留まることを知らず、クラブの最高経営責任者であるピーター・ケニオンは、「我々は2014年までに、世界一パワフルなクラブになるポテンシャルを秘めている」と、将来の青写真を語っている。しかし、同じロンドンでしのぎを削るアーセナルの指揮官ベンゲルは、ケニオンの主張が見落としている点を指摘。チェルシーには、“歴史”、“伝統”、“ファンの基盤”が欠けているという。

チェルシーの現状を見てみると、彼らが言う“世界一クラブ”になるには、少しばかり未熟だと言わざるを得ない。最高のフットボールを披露し続けることで、クラブの認知度は高まっていく。しかし、同時にクラブの歴史も問われるもの。例えば、レアル・マドリーと、中堅クラブのアラベスを比べてみるといい。ここ数シーズンに限れば、アラベスのほうがずっといいチームだ。それでもレアルは、つねにアラベスよりも偉大なクラブであり続ける。さらに言えば、クラブを愛して止まない選手とともに、歴史を築き上げていくことも必要だ。つまり、多くの事柄が、クラブの規模を大きくする。その点、アーセナルも評価は低い。新スタジアムの建設計画が持ち上がった当時、収容人数に関して、5万人、5万5千人、6万人、と3つのプランが出ていたくらいだ。本当に偉大なクラブなら、6万人収容でも少ないくらいだろう? チェルシーが世界一になりたければ、ファンの基盤も固めなくてはならない。それこそ、時間のかかる仕事なんだ」

 アンドリー・シェフチェンコやミヒャエル・バラックなど、豊富な資金力をバックに大物選手の獲得を続けるチェルシーは、世界最高レベルのタレント集団。しかし、彼らがビッグクラブとして認知され始めたのは、今世紀に入ってから。幾多の偉業とともに、欧州のサッカーシーンで主役を演じてきたレアル・マドリーなどのクラブと同列に扱うのは時期尚早。ベンゲルが、ライバルを「未熟」と呼ぶのも当然なのかもしれない。

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