――バロンドール獲得はいつ知ったの?
「実はかなり前に。スペインのマスコミがリークする前に、一部の関係者から聞いていたんだ。僕はDFなので、その意味では2倍の価値がある受賞だと喜んでいる」

――ブッフォンには受賞する自信があったようだけど。
「ジジ(ブッフォンの愛称)にはすまないと思っているよ。本心からね。出来れば友人と受賞を争うという事態は避けたかった。もしも彼が受賞していたとしても、僕は満足だったと思う。僕たちは一緒に多くの試合を戦った仲だからね」

――あなたは自信あったのですか?
「ユーベでもイタリア代表でも、僕自身はとても調子が良かった。ドイツ大会では、絶好調だ、と周囲のみんなにも言っていたしね。僕以外にもジジをはじめとしてバロンドールに相応しい受賞者はいたと思うけど、僕のほうが好調をキープしている期間が長かったんじゃないかな。いずれにせよ、ユーベとイタリア代表のチームメイトに感謝したい。彼らには、今すぐにでも直接お礼を言いたいくらいだ」

――ワールドカップの影響はあったと思う?
「僕たちは、チームの力で優勝を果たした。ジダンやマラドーナのように、個人の力で優勝を手繰り寄せるようなスーパースターは、イタリアにはいなかった。でも、僕たちは他人に言っても信じてもらえないほどの確固たる自信を胸に秘めていた。こうした自信は、サッカーの世界では思いもかけない成果をもたらしてくれるということを証明できた。僕の受賞で、他の選手たちにも勇気を与えることができたなら、素直に嬉しく思う」

――もし君に投票権があったなら、誰に投票していた?
「ブッフォンだね。ジジは怪物だよ。GKは特別なポジションだけど、それだけでは語りつくせない存在感を持っている。本当に彼は別格の選手だよ」

――2位以下は?
「2位がアンリ。3位はピルロだな」

――フランス国内では、バロンドールがイタリア人の手に渡ることを快く思っていない人もいるようだけど。
「アンリが受賞できなかったからと言って、それは僕のせいではない。フランスの人たちには申し訳ないけど、その手の不満は僕にではなく、投票した人に言って欲しい」

――トロフィーはマドリーに持っていくの?
「サンティアゴ・ベルナベウに持っていくつもりだよ。トリノにも持っていきたいんだけど、僕を許してくれない人がたくさんいることも了解している。多くのユーベファンは、僕のマドリー行きという選択を理解してくれなかった。トリノに行ってブーイングを受けることは、僕としては避けたい。それから、ナポリにも持って行きたいと思っている。生まれ故郷のナポリは僕にとって特別な場所だし、トロフィーを直接見せて、ナポリの多くの子供たちの夢を育む役に立てたら素晴らしいことだからね。夢は叶うものだって、みんなに言えるだろう?」